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日曜日に「大阪南港魚釣り園」に行くと、聞けば釣りのノウハウを伝授してくれる人たちがいる。「公認釣りインストラクター」の資格を持つ |
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「公認釣りインストラクター」活躍 |
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南港は、よく釣れますか?日により、潮の流れにより、いろいろですが、今の季節なら小アジ、イワシ、チヌ、タチウオ、サヨリ、ボラ、タコなど結構釣れます。寒くなるとメバルですね。うまい具合に魚の群れが回遊して来ると、多い時は1時間で20〜30匹釣れることもありますよ。 |
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「公認釣りインストラクター」とは?
1992年から、水産庁の助成金を得て始まった制度によるもので、事業主体は社団法人全日本釣り団体協議会。 |
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NPO釣り文化協会のみなさんは、全員がその資格をお持ちなんですか。
ほぼ全員です。皆、釣りが好きで、それぞれに“考えるところ”あって、公認釣りインストラクターの資格を取った。その資格を生かして活躍できる場をと、2005年7月にNPO釣り文化協会を設立した・・という経緯です。 |
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魚釣りは魚の命をもらうこと |
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“考えるところ”の根っこ? 詳しく教えてください。
釣りは楽しい遊びです。でも、魚を釣るということは、魚の命を人間が取るということ。魚釣りは魚の命をもらって初めて成立する遊びだと、釣りをしていると多かれ少なかれ認識するようになるものなんです。 私も、そうでした。魚一匹を釣ることは食物連鎖の始まりだと。人が釣りという楽しみを得るために、自然はもちろん社会的な迷惑をかけていないだろうか、魚釣りに対して人はもう少し謙虚にならなければいけないのではないか、などと考えるわけです。 前後して、たいていの釣り人には、「なんでこのごろ釣れなくなったのだろう」と思う時がある。 海の中にいる魚と直接に接触するのが釣り人です。釣れなくなった原因に、自分たちの存在も関係してやしないかと考える。海から魚がいなくなったら、魚釣りという遊びは成立しないわけですし、「楽しみとしての釣り」だけを追求しているわけにはいかないと気づく。社会的な秩序に則って魚釣りをし、魚がいる海の環境も守っていかなければと考えるようになるのです。 |
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なるほど。「魚釣りの社会性」に考えが及び、周囲の環境に目が向き、
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戦争中、小学校2年の時に、母の実家のある泉南の鳥取ノ荘(現阪南市)に疎開し、海辺で土地の子たちと遊んだのが、そもそもの出合いです。
波打ち際に点在する石にびっしりとついている牡蠣の殻を割っておやつにしながら、まわし一丁で海に飛び込み、年上の子たちが決めたルールに従って泳ぎました。餌を付けた針を二の洲の砂底に仕掛けると、ネズミゴチやキスやベラが捕れました。
夏の終わりにはチヌも捕れたし、秋になるとハマチに追われて波に打ち上げられた銀色の小さなイワシを拾ったりも。青く底石がぴかぴか光る美しい海が広がっていました。その頃の思い出──大阪湾の原風景は、HP「茅渟(ちぬ)の海ふたたび」に詳述していますので、よかったらそちらをご覧ください。
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その後も、釣りを趣味にして来られたのですか。いえ。大阪市内で過ごした中学高校時代は海から離れていましたし、東京の大学に行ってからも遊びに忙しかった(笑)。ところが、大学2年の時、伊豆に旅行に行き、磯釣りを初めて見て、これは面白そうだと、足繁く伊豆に通うようになったんです。 大阪に戻って来たら、投げ釣りが全盛でした。大和川流域から出ていた渡船に乗って、防波堤へ釣りに行く日々・・。紀州方面の磯へもよく出かけ、そのうち新聞や釣り雑誌への寄稿などが生業になり、現在に至っています。 |
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「茅渟(ちぬ)の海」再び・・ |
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來田さんが「釣れなくなった」とお感じになったのはいつごろでしたか?昭和40年代でしょうか。ちょうど高度経済成長期。大阪湾の埋立が進み、コンクリート護岸が増え、海辺の風景が激変すると共に、田畑には農薬が使われ、ゴミの質も量も変わってきていたころ。魚の産卵場が激減したばかりか餌,水温など魚をとりまくあらゆる環境が変わったから大阪湾の魚が減ったと、釣りを切り口に気づいたんですね。 |
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「美しい大阪湾」を取り戻さなければ、釣りができなくなると?そう。何か行動できないかと思うようになった。大阪府にも話を聞いてもらい、白浜にある近大水産試験場にチヌを養殖して育ててくれるように掛け合って・・。まず24年前から、釣りクラブの集合体である (社)大阪府釣り団体協議会で、チヌの稚魚の放流を始めたんです。以来、水温のピークである8月末に、毎年2万匹放流しています。 |
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放流した稚魚が、大阪湾で育っているわけですね。4年で成魚になるといわれますので、大阪湾にはチヌが確実に増えてきているはずです。 |
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かつて「茅渟(ちぬ)の海」といわれたかつての大阪湾よ、再び・・と、同じ思いの釣り人、多いのでしょう。
海を見るのが習慣の釣り人は、潮の流れ、水温、塩分、酸素、魚の量、護岸の形状、赤潮・青潮、有害廃液の投棄などいろんなことを間近に見ていますから。一本釣りがほとんどなくなって漁業が企業化するにつれてみんなで海を守るというか「協同」の精神が薄らいできたとも感じますよ。釣り人たちには海との密接な関係から、なんとかしなければの思いも大きいのです。釣り文化協会では、先日、西宮浜、貝塚人口島、深日港でゴミ集めとゴミの種類の調査も行いました。 |
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市民モニターと共に大阪湾水質調査 |
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大阪湾の水質調査もされているようですが・・。はい。大阪湾の魚が年々少なくなってきた大きな原因の一つは、いうまでもなく「水質」です。ご承知のとおり、沖合の水温や水質、潮流などについては専門家の手で従来から調査されてきていますが、私たち釣り人が日ごろ目の当たりにする沿岸部の護岸や河口などのデータがなかったんです。だから、自分たちでやってみよう、と。 昨年度、専門家にご相談しながら手作りした「水質検査キット」を使って、釣り文化協会のメンバーで、のべ80件の調査をモデル的に実施しましたが、継続していくために、大阪府企画室の推薦を受けて全国都市再生モデル調査に応募。内閣官房都市再生本部事業局から、2006年度の都市再生モデル調査159件の一つに選ばれました。
2006年度は、水質の悪化が予想される8〜9月を中心に12月まで、10ヶ所の定点調査のほか、各人釣りに行った先々での水質調査、目視調査を実施。南港魚釣り園での釣り大会の日などに市民モニターに協力してもらいました。 |
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調査は、どんなふうに行うのですか?
「水色見本」で海の色を確認した後、バケツで表層、リサイクルのペットボトルで作った採取器で底層の水を組みあげ、水温、比重、pH、DO(容存酸素)、塩分濃度を計り、古いCDプレートの透明度計で光がどこまで届いているかを見て記録。子どもさんにも出来る簡単な方法で、モニターの方にも釣りに行った時などに随時お願いしているんです。主体的に調査することによって、海の環境への関心がよりいっそう高まればと思っています。 |
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普段の釣りに加えて調査によって、改めて気づかれたことはありましたか。ありますよ。8月下旬に、尼崎港付近〜甲子園浜にかけての一帯で、青潮が発生しました。 青潮は、水質、底質が悪化した結果、大量発生したプランクトン(赤潮)が沈んだことにより起きた貧酸素状態の中で、嫌酸素プランクトンが硫化水素を発生させます。この水塊が、陸風の影響で表層にわき上がると、硫化水素の結晶ができてる状態のこと。水面が青くなり、温泉と同じ硫黄の匂いがして貝類、カニ類、小魚類が大量死するほか、数日経つと海辺は死んだ生物のため悪臭が漂いますが、8月初旬から予兆が出ていたことが,調査データから判明しました。 (1) 海底の溶存酸素が2〜3%と低かった、(2) 水の透明度が高いが、やや黒っぽい澄み潮状態、(3) 魚の泳ぐ層が浅い、(4) 魚が水面に鼻をあげて泳ぐ表面を魚が泳ぐ、(5) 魚の釣れるタナが浅い、(6) 胴突きの脈釣りで探ってもなにも釣れない、(7) 夜釣りが不振、特に夜になって浅場に出るはずのチヌがいない、(8) イガイが落ち始めた、(9) 表水温が下がったなどが予兆だったのです。 ほかにも、港の突堤の表と裏で生き物の種類や量が異なること、生き物に外来種が増えてきていることなども、調査から分かりました。 |
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それはすごい。データの数もパワーです。大阪湾再生への一歩ですね。
そう。100年後も1000年後も釣りが楽しめる、多くの魚たちが棲む大阪湾にしていくための一歩として、今後多くのデータを収集していきたいんです。 まだ活動はここ大阪湾で始まったばかりですが、市民参加による環境モニタリングの全国的なシステムを構築すべく頑張りたいと思っています。 NPO法人 釣り文化協会 |
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