市民モニターと共に大阪湾水質調査

大阪湾の水質調査もされているようですが・・。

はい。大阪湾の魚が年々少なくなってきた大きな原因の一つは、いうまでもなく「水質」です。ご承知のとおり、沖合の水温や水質、潮流などについては専門家の手で従来から調査されてきていますが、私たち釣り人が日ごろ目の当たりにする沿岸部の護岸や河口などのデータがなかったんです。だから、自分たちでやってみよう、と。

昨年度、専門家にご相談しながら手作りした「水質検査キット」を使って、釣り文化協会のメンバーで、のべ80件の調査をモデル的に実施しましたが、継続していくために、大阪府企画室の推薦を受けて全国都市再生モデル調査に応募。内閣官房都市再生本部事業局から、2006年度の都市再生モデル調査159件の一つに選ばれました。

▲簡単で分かりやすい水質調査7つ道具

2006年度は、水質の悪化が予想される8〜9月を中心に12月まで、10ヶ所の定点調査のほか、各人釣りに行った先々での水質調査、目視調査を実施。南港魚釣り園での釣り大会の日などに市民モニターに協力してもらいました。

▲PAGETOP
調査は、どんなふうに行うのですか?
▲くみ上げた海水も調べる

「水色見本」で海の色を確認した後、バケツで表層、リサイクルのペットボトルで作った採取器で底層の水を組みあげ、水温、比重、pH、DO(容存酸素)、塩分濃度を計り、古いCDプレートの透明度計で光がどこまで届いているかを見て記録。子どもさんにも出来る簡単な方法で、モニターの方にも釣りに行った時などに随時お願いしているんです。主体的に調査することによって、海の環境への関心がよりいっそう高まればと思っています。

▲PAGETOP
普段の釣りに加えて調査によって、改めて気づかれたことはありましたか。

ありますよ。8月下旬に、尼崎港付近〜甲子園浜にかけての一帯で、青潮が発生しました。

青潮は、水質、底質が悪化した結果、大量発生したプランクトン(赤潮)が沈んだことにより起きた貧酸素状態の中で、嫌酸素プランクトンが硫化水素を発生させます。この水塊が、陸風の影響で表層にわき上がると、硫化水素の結晶ができてる状態のこと。水面が青くなり、温泉と同じ硫黄の匂いがして貝類、カニ類、小魚類が大量死するほか、数日経つと海辺は死んだ生物のため悪臭が漂いますが、8月初旬から予兆が出ていたことが,調査データから判明しました。

(1) 海底の溶存酸素が2〜3%と低かった、(2) 水の透明度が高いが、やや黒っぽい澄み潮状態、(3) 魚の泳ぐ層が浅い、(4) 魚が水面に鼻をあげて泳ぐ表面を魚が泳ぐ、(5) 魚の釣れるタナが浅い、(6) 胴突きの脈釣りで探ってもなにも釣れない、(7) 夜釣りが不振、特に夜になって浅場に出るはずのチヌがいない、(8) イガイが落ち始めた、(9) 表水温が下がったなどが予兆だったのです。

ほかにも、港の突堤の表と裏で生き物の種類や量が異なること、生き物に外来種が増えてきていることなども、調査から分かりました。

▲PAGETOP
それはすごい。データの数もパワーです。大阪湾再生への一歩ですね。
▲「このロゴ入りジャンパー着用者に気軽に声をかけてください」

そう。100年後も1000年後も釣りが楽しめる、多くの魚たちが棲む大阪湾にしていくための一歩として、今後多くのデータを収集していきたいんです。

まだ活動はここ大阪湾で始まったばかりですが、市民参加による環境モニタリングの全国的なシステムを構築すべく頑張りたいと思っています。


NPO法人 釣り文化協会
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