2007年6月17日、大阪南港野鳥園(※1=以下、野鳥園)で「生きもの育て隊 アオサ取り」という活動が行われた。
文字どおり、野鳥園にいる生きものを育てるために、藻の一種アオサを取り除く活動で、参加したのは、子どもからシニアまで約80人。この日の模様をレポートしよう。

まずは湿地の生物調査〜石の下に1、2万の生物が

生物調査はこんな風景の中で

 普段立ち入ることができない干潟に入れることも、このイベントの魅力の一つだ。湿地〜干潟エリアに入るや否や、参加者たちから、
「うわ〜。きれい!」
 と、歓声が上がる。緑の草木が生い茂る中、潮風が吹いてくる。波の音が聞こえる。彼方に六甲山系の山々まで見渡せる光景が広がっているのだ。干潟、つまり潮が引いたときに現れる海辺を歩く。

普段入れない湿地に、足を踏み入れる
生きもの観察をしながら歩き北池に到着

「この草をご存知ですか?」
 と、石井さんが、薄紫色の可憐な花をつける草を指した。
「ウスベニツメクサです」
 他にも、ヨシをはじめ、イソヤマテンツキ、ホコガタアカザなどの群落が、目の前に見える。
「塩性植物と言います。潮の干満や海風の影響を受ける厳しい環境でもうまく適応して生活していますよ」

「あそこの草に注目!」と石井さん
可憐な花をつける塩性植物が咲き乱れるエリアも

 波打ち際で、では次にこれも見てみましょうと、石井さんが足元の石をひっくり返した。すると、石の裏側にたくさんの貝などがくっついている。
「タマキビガイ、マガキ、ミズヒキゴカイ、タテジマフジツボ、ヨコエビ類、イソガニ・・。一個の石の下には、1万〜2万の生きものがいるんです」
 と聞き、参加者はそれぞれ自分の足元の石を裏返す。
「石は、上下を元どおりに戻しておいてくださいね。みな、自分たちが生きていくのに必要な位置にくっついているわけですよ」

石にくっついていた貝類
足元に、数えきれないほどの貝やカニ類が

 分かりやすい説明に、一同、納得。
 そして、いよいよ今日の目的地、北池の北に広がる干潟に到着した。

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