2007年6月17日、大阪南港野鳥園(※1=以下、野鳥園)で「生きもの育て隊 アオサ取り」という活動が行われた。
文字どおり、野鳥園にいる生きものを育てるために、藻の一種アオサを取り除く活動で、参加したのは、子どもからシニアまで約80人。この日の模様をレポートしよう。

アオサが干潟の環境に「大敵」なワケ

 北池(※5)は、西池、南池と共に3つある海水の出入りがある池の一つ。干潮時には干潟、磯が現れるようにつくられている。干潟は、自然の水質浄化作用を果たすばかりか、貝、ゴカイ、ヨコエビ、カニ、昆虫、魚など小さな生きものの住処でもある。野鳥たちは、これを食べに集まって来るのである。

「例年に比べて今年はなぜか、アオサが少ないんですが・・・。気をつけて池に入って、浮いているアオサを取ってください」

水に浮くアオサ(今年)
アオサが多い時は、海面を埋め尽くす(昨年)
写真提供:大阪南港野鳥園

 アオサは、ワカメに似た「緑海藻」の一種だ。濃緑色で平たい形状。全国の沿岸で見られ、本来は、“ワルモノ”ではない。水中の窒素やリン酸などの栄養成分を吸収し、沿岸海域の水質浄化 ・富栄養化防止の役割を果たす上に、食材の青海苔や、有機農業の有機肥料などに利用されている。しかし、採算が合わないことから、採集されずに放置されるものが後を絶たない。腐敗して逆に海の富栄養化や赤潮・青潮 の原因物質にもなっているのだ。

干潟にアオサが埋め尽くす様子(昨年)
写真提供:大阪南港野鳥園
10分も取るとアオサの山ができる(去年)
写真提供:大阪南港野鳥園

 また大量発生すると次第に酸素が不足し、酸素を使わないで働くバクテリアによって分解されていくことになる。その際に、メタンガスや硫化水素が発生し、干潟の表面が真っ黒になり、底生生物が生活できなくなる。

アオサの大量発生により、真っ黒になった干潟の表面の土

 南港ウェットランドグループの面々から、干潟の表面の泥や砂をいっしょに取らないよう、「浮いているアオサ」だけを取るように、案内があった。

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