2007年6月17日、大阪南港野鳥園(※1=以下、野鳥園)で「生きもの育て隊 アオサ取り」という活動が行われた。
文字どおり、野鳥園にいる生きものを育てるために、藻の一種アオサを取り除く活動で、参加したのは、子どもからシニアまで約80人。この日の模様をレポートしよう。

泥んこになるのも楽し、アオサ取り

さながら「海の遠足」状態
浮いているアオサは簡単に取れる

 おそるおそる池に入った参加者たちだが、5分もしないうちに、足が濡れるのもおかまいなし・・になったようで、「海辺の遠足」の様相を呈してきた。大人も子どもも、泥んこになって、水の中にひらひらと浮かぶアオサを見つけては取る。
「きれいだ!」
 と、アオサ片手に記念撮影している人も何人か・・。

毎年参加している親子も
アオサ運搬は手づくりの用具で

 取ったアオサを、南港ウェットランドグループが用意したボートに入れる。ボートが満杯になると、同グループのメンバーが岸辺に設置された集積所に次々と運ぶ。集積所は、牛乳ケースを敷き、ネットを張った手作りで、2×3メートルほどの大きさ。
「例年は、一回(約2時間)で2、3トンが取れ、集積所が満杯になるのですが」
 とのこと。昨年は、アオサ取りを3回し、合計10トンを集めたという。集積所に集められたアオサは、徐々に水分が抜けて、乾燥していく。最終的には、粒状の有機物となって底生生物の栄養分となるそうだ。

集積場にて
取ったアオサは手分けして集積場に運ぶ

「今年、アオサの発生率が低いのは、日照条件、水温や塩分濃度との関係だろうと思われますが、まだ解明されていません」(石井さん) 
 この日は、例年の量の半分弱の“収穫”となった。

この日の収穫
集積場に満杯だったアオサは1週間で
この程度の嵩になる(昨年)
写真提供:大阪南港野鳥園

 「都心近くに、こんな海辺があったとは。小さな生きものが棲める環境づくりに、微力ながら協力できたと思うとうれしい」と参加者たちの感想(※6)。

 「アオサ取りへの関心が、文化的、社会的環境の中における自然環境について考えるきっかけになれば。ひいては、自分と他者の両者への思いやる心を持ってもらえたら」と、石井さんは話している。

 なお、野鳥園でのアオサ取り活動は、2007年、この日を初日に計3回行われたが、毎回、参加者募集が始まるとすぐに定員(50人)以上の申し込みがあり、早々に締め切った。7月29日(日) には、子どもたちを対象にした「夏休み子どもボランティア アオサ取り」(社団法人大阪自然環境保全協会主催)、9月9日(日) には、アオサを取り除いた干潟にシギやチドリが集まっている様子を観察する「南港生きもの発見隊 シギやチドリを観察しよう!」イベントも開かれる。また、これらの催しに加え、最近では企業ぐるみでの「アオサ取り」活動も増え、多方面から海辺環境やアオサ除去への関心が広がってきている。

文・井上理津子
写真・丸井隆人

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