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「ゴミ捨て厳禁」「車両乗り入れ禁止」など、町にはさまざまな看板があふれている。海岸も同様で、注意して見ると、自治体などによる禁止事項や注意事項を書いた看板が多数見られるはずだ。 たとえば、「ゴミは持ち帰りましょう」「ポイ捨て禁止」などといった看板の場合。主旨は正論であり、異を唱える向きはまずいないだろう。しかし、それらの看板が機能せず、ゴミが後を絶たないところが多いのが現状だ。 捨てる側の心理は、「少しくらいならいいだろう」「他にも捨てている人がいるから」なのか。「持って帰るのは面倒」との思いが、「ゴミを捨ててはいけない」の思いに勝った結果だろう。看板に説得力がないわけだ。満杯のゴミ箱の脇に、入りきらないゴミが山積みになっている光景も珍しくない。ゴミがなくならないから、また別の看板を立てるといったイタチごっこが続き、看板そのものもまた景観をつぶすといった事態に陥らないとは限らない。 「ぼちぼちいこか」vol.5でご紹介した「御前浜・香櫨園浜プロジェクト」の活動の場である御前浜に、今春設置された総合案内板は、従来の看板と一線を画している。本稿でも触れたが、もとは浜に78の看板があった。それらの現状と必要性を一つずつチェックした上で、プロジェクトのメンバーたちが、行政や専門家と共に「効果的に禁止事項、注意事項を提示するにはどうすれば良いか」を話し合った末、「浜が、歴史・文化・自然に培われてきた“大切”なものであること」「浜を愛し、見守っている人たちがいること」を伝えることが重要だと意見の一致を見た。そして、「人と自然の“いとなみ”が共生するかけがえのないこの浜を未来へ」をキャッチコピーに、浜に育つ草木や飛来する鳥を紹介した“メッセージ性”の高い看板が作られ、設置されたものだ。設置後、利用者のマナーが明らかに向上したという。
この例から、看板に大切なのは、見る側を納得させる「説得力」であることがお分かりいただけようか。ゴミを例にとると、看板を見る利用者が自ずと「浜を美しく保つために、ゴミを捨ててはいけない」と思うメッセージが備わっていることがポイントだ。また「ゴミ箱を設置しない」など、行政の取り組みと連動しなければ意味をなさない。ゴミ一つ落ちていない海岸に、人はゴミを捨てようという気にならないものだ。 |
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