とじるRokko Green Belt六甲山系電子植生図鑑

アカマツ−モチツツジ群集

分類 : 二次林
相観 : 常緑針葉高木林

植物社会学上の位置づけ : アカマツ群団、コナラ−ミズナラオーダー、ブナクラス

どんな群落?調査結果から

ひとこと解説

写真:ひとこと解説アカマツの高木が特徴的な、六甲山を代表する植生です。とは言っても松くい虫の被害が激しく、表六甲を中心に、減少の一途をたどっています。緑化によってできたアカマツ林が次の林に変わっていく、激動の一瞬に立ち会っているのかもしれません。

主な構成種

高木層 アカマツ,コナラ,リョウブ,ソヨゴなど
低木層 コバノミツバツツジ,モチツツジ,カマツカ,ネジキ,ヒサカキ,アセビなど
草本層 チヂミザサ,ミヤマウズラ,シハイスミレ,オオバノトンボソウなど

分布と見分けるポイント

高木のアカマツが何本も生えていたら、それがアカマツ−モチツツジ群集です。表六甲の低海抜では主に尾根部に、高海抜では斜面中部から尾根部にかけて広く分布しています。裏六甲では、尾根から斜面下部にかけて、広く分布しています。海抜およそ450mを境に、シャシャンボ下位単位は低海抜域、タンナサワフタギ下位単位は高海抜域に見られます。

分布 表六甲では主に尾根筋に、裏六甲では尾根から斜面下部まで分布
標高 六甲山全域

群落の現状と将来

裏六甲では用材や薪炭などを採る林として利用されていたのが、現在は放置されています。表六甲は、緑化の過程ではげ山から回復してきた林が大半です。近年、松くい虫被害によるアカマツの枯死により、コナラ−アベマキ群集へと移行しつつあります。将来的には、長い年月をかけて、およそ350m以上の高海抜域ではウラジロガシ−サカキ群集に、低海抜域ではコジイーカナメモチ群集に遷移すると考えられます。750m以上の所は、潜在的にはブナ−シラキ群集の立地です。しかし、優占種のブナ,イヌブナの種子供給や定着が期待できないこと、気候温暖化などにより、群落を代表する優占種を欠いた林が成立するかもしれません。