とじるRokko Green Belt六甲山系電子植生図鑑

アカマツ−モチツツジ群集

分類 : 二次林
相観 : 常緑針葉高木林

植物社会学上の位置づけ : アカマツ群団、コナラ−ミズナラオーダー、ブナクラス

どんな群落?調査結果から

種組成と階層構造

図:種組成と階層構造

高さ12〜25mの常緑針葉樹林です。アカマツが林冠に出て、階層は4,5層に分化します。
海抜450mあたりを境に、大きくふたつのタイプに分かれます。
高海抜域のタイプは、タンナサワフタギ下位単位と名付けられたタイプで、ブナ域やカシ域に分布の偏る種が多く見られます。タンナサワフタギ,アセビ,コアジサイ,ウンゼンツツジなどが現れることが特徴です。また、照葉樹のソヨゴ,ヒサカキ,アセビなどが高い被度で現れます。このタイプの中には、ミヤコザサが密生して、見た目も種数も異なる林もあります(ミヤコザサ優占群)。
低海抜域のタイプは、シャシャンボ下位単位と名付けたタイプで、照葉樹林の構成種群など、シイ域に分布の偏る種が多く見られるます。また、高海抜域のタイプを特徴づける種がほとんど出現せず、シャシャンボやガンピが出現するのが特徴です。

他群落との組成の違い

種の多様性

図:種の多様性ミヤコザサの優占するタイプを除くと、マツ林・夏緑林の構成種群はブナ−シラキ群集とほぼ同じくらいの種が生育しています。一方で、照葉樹林の構成種群も多く、結果として、群落の平均出現種数が高い値となっています。
特に、低海抜域のタイプ(シャシャンボ下位単位)に注目してコナラ−アベマキ群集と比較すると、アカマツ−モチツツジ群集では、マツ林・夏緑林の構成種群がまだ欠落していないことが伺えます。このことは、低海抜域における林の整備では、尾根筋のアカマツ−モチツツジ群集を中心に行った方がいいということを示唆しています。

各群落の種多様性の比較

六甲山系グリーンベルト事業での位置づけ

マツ枯れが顕著な林分
  • 整備区分3「現状で良好な樹林が形成されているなど、土砂災害防止の観点からは当面現状のまま保全する区域」に相当します。
  • 基本的には自然に委ね、その状態を監視するものとします。
  • 不良な林分(表土が流出している、林内が暗く下層植生が貧弱、幹の細い樹木が密生しているなど)については、良好な林分への誘導を図ります。
マツ枯れの顕著でない林分
  • 整備区分2「現状で樹林の形成などがなされているが、土砂災害防止の観点から補植や下刈りなどの整備を実施する区域」に相当します。
  • 目標とする樹林への推移状況が良好な場合は遷移に委ねるものとします。