とじるRokko Green Belt六甲山系電子植生図鑑

エノキ−ムクノキ群集

分類 : 二次林
相観 : 夏緑高木林

植物社会学上の位置づけ:ムクノキ−エノキ群団、スダジイ−ヤブコウジオーダー、ヤブツバキクラス

どんな群落?調査結果から

種組成と階層構造

図:種組成と階層構造

高さ15〜20mの常緑広葉樹林。階層は5層に分化します。
エノキ,ムクノキ,ケヤキ,アキニレといったニレ科の植物、あるいはクマノミズキが林冠を占めるのが特徴です。林内には、照葉樹林の構成種が多く、アカマツ林やコナラ林、ブナ林で出現頻度の高い夏緑樹は、エノキ−ムクノキ群集ではあまり見られません。夏緑樹の優占する二次林・自然林の中では、異色と言えるでしょう。崩壊地や造成跡に成立して、照葉樹林へと遷移する、その途上に一時的に現れる林であることが、種組成からも伺えます。

他群落との組成の違い

種の多様性

図:種の多様性平均出現種数は多いのですが、マツ林・夏緑林の構成種群よりも照葉樹林の構成種群の方が多く、照葉二次林のアラカシ群落よりも照葉樹林の構成種群が多くなっています。アカマツ−モチツツジ群集やコナラ−アベマキ群集といった夏緑二次林とは異なる特徴と言えます。

各群落の種多様性の比較

六甲山系グリーンベルト事業での位置づけ

  • 整備区分3「現状で良好な樹林が形成されているなど、土砂災害防止の観点からは当面現状のまま保全する区域」に相当します。
  • 基本的には、現状の群落を保全するものとし、適切に管理します。
  • 現状で極相林への遷移が進行している場合は自然に委ね、その状態を監視します。
  • 不良な林分(表土が流出している、林内が暗く下層植生が貧弱、幹の細い樹木が密生しているなど)については良好な林分への誘導を図ります。