電子植生図鑑 六甲山の植生の変遷

はじめに1:気候の変動に伴う変化2:人の暮らしに伴う変化3:水害などの影響に伴う変化

1:気候の変動に伴う変動

気候変動による植生の変化を、森林帯の変化で見てみましょう。

森林帯 :
気候条件(気温や降水量)に対応した林の分布域照葉樹林帯,夏緑樹林帯,針葉樹林帯など。京阪神の低海抜地域は、照葉樹林帯に位置する。

着目したのは、次の4つの時代です。

  1. 最寒冷期:氷河期の中でも、最も寒かった時期 現在よりも7℃気温が低かった、と想定しました。
  2. 縄文海進期:氷河期が終わり、現在よりも暖かかった時期。 現在よりも1℃気温が高かった、と想定しました。
  3. 現代
  4. 将来:気温が1℃上昇したら、どうなるでしょう。
最寒冷期(氷河期)
山上には、今では大台ヶ原や日本アルプスなど、高い山にしか残っていない針葉樹林帯が広がっていたようです。山麓には、夏緑樹のイヌブナや針葉樹のモミが混生する林が広がっていたようです。
この時期、照葉樹林は、太平洋側の気温の暖かいところにまで南下していた、六甲山周辺にはありません。
縄文海進期
氷河期が終わり、縄文時代には、今よりもさらに暖かくなりました。六甲山は、ほぼ全域が照葉樹で被われ、ブナ林は山頂付近にわずかに分布するだけだったと思われます。針葉樹林は、ブナ林よりもさらに高いところにしか成立しないため、六甲山からはなくなってしまいました。
現代
縄文海進期以降、気温は徐々に下がり、現在に至っています。現在の六甲山は、大部分が照葉樹林帯に相当し、わずかに山上一帯だけが、夏緑樹林帯に含まれます。実際には、夏緑樹林も照葉樹林も、自然は断片的にしか残っていません。
将来
温暖化が進むとどうなるでしょうか。
左の図は、気温が1℃上昇した時の、予想図です。
気温が2℃上昇すると、ブナ林は、六甲山系では成立できずに、なくなってしまいます。
六甲山の植生の変遷
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