平城宮跡歴史公園の概要

国営平城宮跡歴史公園は、特別史跡であり、世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の一つでもあって、我が国を代表する歴史・文化資産である平城宮跡の一層の保存・活用を図ることを目的として、平成20年度に事業化された国営公園です。
現在、同年度に策定した公園基本計画をもとに事業を進めています。

基本方針

  1. 1. 特別史跡・世界遺産である歴史・文化資産としての適切な保存・活用

    平城宮跡が、国の特別史跡として指定され、世界遺産として登録された「古都奈良の文化財」の構成資産であることを尊重し、貴重な歴史・文化資産として確実に保存し、良好な状態で後世に伝えます。
    さらに、今後も遺跡の発掘調査・研究が継続される場所として、発掘調査・研究自体、また、蓄積・深化されていく考古学的知見や遺跡の表現手法の技術的発展を事業に適切に活かしていくことにより、特別史跡・世界遺産にふさわしい「遺跡博物館」※としての機能を持つ公園整備を実施します。
    ※遺跡博物館:遺跡を守り、研究し、これを整備して国民的な利用に供するものとして提案された遺跡の一つの存在形式(「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」による)。

  2. 2. 古代国家の歴史・文化の体感・体験

    多様な来園者の誰もが楽しみながら古代国家の歴史・文化を体感し、体験的に学ぶことができるように、遺跡の公開や空間スケールを活かした遺跡の表現、平城宮跡周辺の古都奈良の歴史的・文化的景観と併せ、往時に思いを馳せることのできる景観の形成を図ります。また、興味をかき立てるわかりやすい解説や多彩なイベントを実施します。

  3. 3. 古都奈良の歴史・文化を知る拠点づくり

    古代において国際都市であった平城京の中心の地として、古都奈良の歴史・文化を伝える情報発信のセンターとなるとともに、歴史・文化等を通じた国際交流の拠点としての活用を図ります。

  4. 4. 国営公園として利活用性の高い空間形成

    関係機関との連携のもと、快適な空間づくりときめ細やかなサービスの提供により、四季を通じて様々な来園者が一日を充実して過ごすことのできる公園を目指します。併せて、地域住民・NPOをはじめとした多様な主体が整備、管理・運営に参画し、公園に集う人全てで作り、育む公園とします。

導入すべき機能

貴重な歴史・文化資産としての確実な保存を前提とし、以下の機能を導入します。

  1. 1. 歴史・文化体感・体験機能

    今後も継続される発掘調査・研究の成果をもとにした遺跡の積極的な活用と、周辺の歴史的・文化的景観とあわせ平城宮跡が持つ広大な空間スケールを活かした景観形成により、古代国家の歴史・文化を体感・体験できる機会を提供します。
    特定の主要遺構については、十分な調査研究に基づき、原位置で実物大の建物等を復原し、それを活用した取組を行います。また、それ以外の遺構についても、わかりやすい表示、解説の実施や出土品を展示する施設を設けることにより、来園者が往時の平城宮を正しく認識できるようにします。

  2. 2. 歴史・文化交流拠点機能

    平城宮跡はもとより古都奈良全体の歴史・文化情報を国内外に発信します。
    歴史・文化に関する国際交流や地域交流に役立つイベント等を開催します。

  3. 3. 観光ネットワーク拠点機能

    古都奈良の観光拠点の一つとして、平城宮跡の特徴を活かした歴史・文化の体感・体験の取組を行うことができるようにするとともに、観光情報の発信や交通ターミナルの整備を行い、奈良観光の玄関口の役割を持たせます。

  4. 4. 自然的環境保全・創出機能

    都市部に残された貴重な緑地として、自然的環境を保全・創出するとともに、その活用を図ることにより、自然体験の機会を提供します。

  5. 5. レクリエーション機能

    都市部に残された貴重なオープンスペースとして、多目的に活用できる広場、季節や時間の移ろいを楽しむための施設整備等によって、公園としての魅力を高めつつ、多様なレクリエーション利用ができるようにします。
    大地震など非常災害時の避難場所として必要な整備を行います。

  6. 6. 利用サービス機能

    トイレ、休憩所等の施設や利用案内の充実など、快適性や利便性を高める施設整備等により、様々な来園者に質の高いサービスを提供します。
    地域住民やNPOをはじめとした多様な主体の参画を促します。

区域とゾーニング

特別史跡平城宮跡の国有地を中心に、史跡平城京朱雀大路跡とその東側を加え、国営公園の区域にするとともに、その周辺において、奈良県が中心となり国営公園と連携した整備を行う区域を合わせ、一体的な公園整備を行います(国営公園区域約122ha、その他区域約10ha 合計で約132ha)。
また、発掘調査の実施や景観、アクセス、現況利用からみた場所の特性に応じ、区域を大きく4ゾーンに区分けし、各ゾーンに見合った施設の整備、ソフトの展開を図っていきます。

■出入り口について

エントランス3箇所のほか、周辺の歴史・文化資産と平城宮跡を結ぶ補助的な出入り口を四方に設けます。なお、周囲への柵の設置は行いません。

平城京のエントランス地図

平城京の地図

管理・運営の方針

平城宮跡にしかない施設や空間等を十分に活用し、展示やイベント等を実施し、往時の歴史・文化を楽しみながら知ることのできる管理・運営を行います。その際、継続的に実施される発掘調査や研究の成果を積極的に活用していきます。
また、地域住民やNPOをはじめ多様な主体のボランティア参画を促進し、管理・運営の充実化を図り、さらに、利用情報の提供や高齢者等のサポート、利用ルールの制定、適切な施設・植物管理、清掃等、コストに配慮しつつ、来園者にとって快適性、利便性の高い国営公園にふさわしい管理・運営を行います。
なお、これらについては、史跡上に設けられる公園等として、関係機関との役割分担、連携のもと、来園者の公園利用に支障を生じないように進めていきます。

国営飛鳥・平城宮跡歴史公園の名称について

政府は2008(平成20)年10月の閣議決定で、平城宮跡を既存の「国営飛鳥歴史公園」と一体的に整備を進める国営公園として、「国営飛鳥・平城宮跡歴史公園 平城宮跡区域」と命名しました。そのため、これが本公園の正式名称となっています。
しかしながら、皆様に馴染みやすい公園とするため、通常は「国営平城宮跡歴史公園」の呼称を用いることとしております。ホームページでもこの名称で統一しました。