消えゆく琵琶湖の固有種、アブラヒガイ。

アブラヒガイ

現在、琵琶湖にはビワヒガイとアブラヒガイの2種類の固有種のヒガイが棲息しています。とくにアブラヒガイは、近年激減し、環境省や滋賀県琵琶湖環境部によって※絶滅危惧種に指定されています。
アブラヒガイは、体長8〜20センチメートルで湖北の岩礁地域だけに棲み、アブラハヤ、アブラボテと同じく、ゴマ油や医療用の油紙のような飴色の体色が大きな特徴です。
かつて琵琶湖のヒガイは食用とされ、明治天皇が好んで食されたことから漢字では「鰉」の字を充てるようになりました。当時は魚価も高く、多くの漁師たちが懸命に漁獲しようとしましたが、ヒガイ釣りは極めて難しく、かなりの熟練が必要だったといわれています。
限られた場所に棲むアブラヒガイにとって自然環境の変化は大きな影響をもたらし、滋賀県立琵琶湖博物館の調べでは、ここ2、3年はほとんど採捕されないまでに激減しています。またひとつ琵琶湖の生物が、絶滅の危機に瀕している事実を私たちはより真剣に見つめ直さなければいけないのではないでしょうか。

写真提供/琵琶湖博物館


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