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幻となりつつある冬の湖魚、ホンモロコ。

ホンモロコ

ホンモロコはコイ科に属する琵琶湖の固有種です。自然分布は琵琶湖に限られますが、美味な魚であるために現在では各地に移殖されています。とくに、脂がのった冬場のホンモロコは、素焼きを生姜醤油やどろ酢(からし酢味噌)で食べるのが好まれます。
冬季のホンモロコは、エビやイサザとともに、沖合いの水深50〜60メートルあたりにいるものを沖引き網で漁獲します。かつては、一度網を引き上げるとトロ箱に数十杯分のホンモロコが水揚げされましたが、近年は漁獲量が激減し、網の中に僅かに数匹が入っているだけということも希ではありません。漁獲量の推移をみると1994年の245トンに対して、99年には23トンにまで落ち込み、6年間に約10分の1にまで減少しています。
滋賀県では現在、ホンモロコの産卵繁殖場となるヨシ原を含めた浅水域の造成を長命寺地区、新旭地区、津田江地区、丁野木地区で実施。さらに、ヨシの育成に欠かすことのできないヨシ刈りを琵琶湖周辺の地元自治会や市民ボランティアの参加によって行う「ヨシ行こう! 10000人キャンペーン」もスタート。
このような官民一体となった新たな取り組みを通して、ホンモロコをはじめ、しだいに減りつつある湖魚の保全が積極的に進められています。

ホンモロコ:プロフィール

ホンモロコ・コイ科
体型は、近縁種のタモロコと比べるととても細長く、体調の良い時は背側の色が淡いモスグリーンでキラキラと輝いて見える。
春先に接岸し、産卵場所を求めて岸辺を泳ぎ回るため、かつてはホンモロコ釣りが琵琶湖の春の風物詩であった。
写真提供/琵琶湖博物館


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