湖中にゆれる琵琶湖の固有種、ネジレモ。

ネジレモ

琵琶湖の遊泳場などで泳いでいると、葉がらせん状に伸びた水草を目にすることがありますが、これ琵琶湖の固有種であるネジレモです。水深1メートル前後のきれいな砂地に生育し、茎はなく根から直接、葉が伸びています。その名の通りリボンのように葉がねじれているのが大きな特徴です。かつては琵琶湖に広く生息し、優占種となっていましたが、現在は富栄養化や外来種の水草の繁殖などのために減少傾向にあります。ネジレモは雌雄異株で雄花と雌花があります。雄花は株の根元付近にできたサヤの中に多数詰まっていて、サヤがはじけると個々の花が水面を漂います。8月頃になるとソーメンのように伸びた糸状の花茎を見ることがありますが、これは雌花のもので、水面上で雄花と受粉すると、花茎がスプリング状に巻き込まれ、湖底付近に集まります。こうした受粉のようすは陸上の植物とは大きく異なり、とても興味深い光景です。
ネジレモのように植物全体が水中に沈んでいる水草を沈水植物と呼び、現在、琵琶湖では27種類の生育が確認されています。沈水植物は、魚類などのすみかや産卵場所になったり、冬季の水鳥の貴重なエサとなるなど、他の生物にとってもかけがえのない存在です。多彩な沈水植物がしっかりと育ち、沿岸の生態系が豊かに育まれる環境を守ることは、琵琶湖の恩恵を受ける私たちみんなの大きなテーマといえるでしょう。

ネジレモ

水草の分布のしかた(琵琶湖でのイメージ図)
取材協力:滋賀県琵琶湖研究所


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