琵琶湖開発事業の効果

琵琶湖開発事業では、利水対策として瀬田川洗堰を改築し、渇水期に貴重な水を無駄に放流しないために、水位が低くても放流量を正確にコントロールできるバイパス水路を設けました。さらに、湖水位の低下によって船舶の運航や停泊に支障をきたす港湾や漁港などで港の改築と航路や泊地の浚渫を実施し、水位が低くても水が確保できるように取水施設の沖出しやポンプの増設も行いました。 その結果、観測史上最低の水位を記録した1994年の渇水でも、淀川下流では以前のような深刻な水不足はなく、琵琶湖周辺の稲も平年を上回る豊作となり、流域全体の暮らしに貢献することができました。

1994年の渇水では、

観測史上最低の水位 B.S.L.-1.23mを記録しました。 B.S.L.=琵琶湖基準水位

グラフ

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湖北町延勝寺付近では貝掘りができるほど湖岸が干陸化。
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前浜が広がった新旭町付近。
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水位が低下しても船が出入りできる漁港。
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湖上の趣を留めた浮御堂。

※2002年の渇水でも最低水位がB.S.L.-1m近くまで低下し、この水位が長期にわたって継続したため取水制限日数が増加しました。しかし流域全体の暮らしに影響はほとんどありませんでした。

びわ湖松林に広がる水辺のオアシス、ビワコマイアミランド

写真ビワコマイアミランドは、琵琶湖国定公園湖岸緑地マイアミ・アヤメ浜園地にあり、沖島と雄大な比良山系を背景に白砂青松のすばらしい環境にあります。キャンプはもちろん、テニスやバードウォッチングも楽しめます。

ビワコマイアミランド
〒524-0201 滋賀県野洲郡中主町大字吉川字中瀬3326-1
TEL.077(589)4254

たくさんのお便りをありがとうございました。

淀川わんどの記事を懐かしく拝読致しました。40年近く前になりますが通っていた高校が大阪旭区に在り校舎の裏は淀川でした。城北にも近く体育の授業は河川敷で行うことが多かったです。昼休みは堤防でくつろぎ、わんどでつりをしている人の釣果を見たりして過ごしていました。わんどでは鯉、ヘラ等の大物が多く釣れて魚の種類も沢山ありました。いつまでもわんどは残って欲しいし残さねばいけないと思います。

(大阪府 S.Y)

先日、キャンプに滋賀を訪れた時に貴誌を手にしました。琵琶湖の周りには自然がいっぱいでよいですネ。近いうちに子供達とまた遊びに行こうと思っています。その時には「アクア琵琶」へも立ち寄りたいです。

(石川県 S.M)

B.S.L.(琵琶湖基準水位)、これはどうして定めるのか? 或いは測定するのか、学術的でなく、素人にも解り易く説明(次号でも結構ですから)頂ければ幸甚です。「わんど」異国の知恵が生きている…考えただけでもうれしいですねえ。人知の歴史でしょうか。にごろぶなの鮒寿司の話、趣たっぷりでした。

(滋賀県 H.K)

琵琶湖の水辺環境を守るため、取り組みを進めています。

淀川水系流域委員会瀬田川洗堰は、琵琶湖の水位を調節するという非常に大切な役割を担い、その操作によって私たちの暮らしは洪水などから守られています。その一方で、いま琵琶湖の水位の変化がもたらす生態系への影響が心配されています。

水位の変化がおよぼす生き物への影響。

瀬田川洗堰は平成4年に制定された操作規則によって、洪水の起こりやすい季節までにあらかじめ琵琶湖の水位を下げることになっています。しかし、この時期は、琵琶湖の水辺や内湖のヨシ帯で行われるフナやコイなどの産卵期と重なり、急激な水位の低下が産卵・成育に影響をおよぼすことが心配されています。

産卵前の追尾行動
産卵前の追尾行動
水中に産みつけられた卵
水中に産みつけられた卵
干上がった卵
水位が低下して干上がった卵
(赤い根についた白い点状のもの)

たとえば、沿岸の植物などに産みつけられた卵が、急に水位が下がることで干上がってしまい、ふ化できなかったり、うまく育たないことが考えられます。

琵琶湖の水位の変動によって水中に沈んだり、陸になったりする場所を「水陸移行帯」と呼びますが、そこはフナやコイなどにとって格好の産卵・成育の場であり、琵琶湖の生き物を守るためには、水陸移行帯と生態系の関係を調べることがとても重要です。

水陸移行帯
水陸移行帯は、生命の営みが繰り広げられる大切な場所。

産卵・成育調査と試験的な洗堰操作の取り組み。

琵琶湖河川事務所では、昨年度行った水陸移行帯の調査結果にもとづき、滋賀県や水資源機構と連携して、フナやコイなどの産卵・成育に関する調査を継続して行っています。また、急激な水位低下を避けるため水位の下げ幅をできるだけ抑えたり、雨によって水位が上昇したときも、出水に注意しながらおよそ1週間水位を保った後に目標とする水位までゆるやかに低下させるなど、フナやコイなどのふ化・成育環境をまもるための洗堰操作を試験的に行っています。

これらの取り組みにあたっては、専門家によるワーキンググループを設け、調査・検討を進めながら、将来に向けた話し合いが行われています。

調査風景
魚の種類や稚魚の数、育ち具合などを調査します。
現地調査見学会
ワーキンググループによる現地調査見学会。

水辺の環境展 〜生命のゆりかご、琵琶湖を守る〜

イラスト琵琶湖は世界の中でもとくに古い歴史をもつ湖のひとつで、その豊かな環境は太古からからさまざまな生命をはぐくんできました。現在、50種類をこえる固有種を含め2000種以上の動植物が生息・生育しています。
 私たち人間は、そんな琵琶湖の自然や豊富な水のおかげで豊かな生活を得ることができましたが、結果として琵琶湖の水質は悪化し、自然環境は失われつつあります。しかし、そんな中でも生物は懸命に生きようとしています。
 今回の「水辺の環境展」は、琵琶湖の移り変わりに目を向けながら、生命の尊さや自然の大切さをじっくり学べる内容としています。

●期間
7/21(水)→ 8/30(月)
●場所
アクア琵琶 エントランスホール 他
●内容
  • フナの産卵のようすを記録したビデオの上映
  • 琵琶湖の環境を解説したパネル展示

住民団体のみなさまのご協力により、展示コーナーは琵琶湖のヨシを使って飾り付けを行います。

イラスト


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