家族のつよい絆で海を渡って飛来するマガン。

マガン

マガンはカモ目カモ科の冬鳥で、ロシア極東北部のツンドラ地帯を主な繁殖地とします。秋になると北海道を中継し、本州各地へ渡って越冬します。そして翌年の春になると再び北海道に渡り、穀物などを食べてエネルギーを十分蓄えると、5月頃に繁殖地へと一気に飛び立ちます。本州の越冬地から繁殖地までの距離は 3千〜4千km。中継点の北海道からでも約千km離れていますが、その間を約10時間で渡ったという観察記録も残されています。
マガンやその仲間たちは飛翔力に富み、雁列や雁行というV字形の隊列を組んで飛行します。これは、前を飛ぶ鳥が起こす気流を利用し、後ろの鳥たちが楽に飛ぶためのもので、飛行ルートを熟知し、体力のある親鳥が先頭を務めます。
琵琶湖にも北海道を経由し、マガンが飛来しますが、その数はきわめて少なく、例年10羽前後がオオヒシクイの群れに混じってやってきます。湖北野鳥センターでは、これからの季節、オオヒシクイとともに水辺で泳ぐマガンを時折、見ることができます。準絶滅危惧種に指定されるマガンが安心して飛来し、1羽でも多くの姿を琵琶湖で目にするためにも、水辺の環境や内湖の保全は大きな課題といえるでしょう。

マガン・プロフィール

カモよりやや大きく、くちばしの先から尾の先までは約70cm。ピンクまたはオレンジ色のくちばしと同じくピンクの足が特徴で、くちばしの根元から額にかけての白色が目立つ。
稲の落ち穂、水草や草の根、茎、種など、植物性の餌を主食とし、家族単位で行動する。1971年に国指定の天然記念物となる。
写真提供:湖北野鳥センター


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