雪解けの湿原に花開く早春のザゼンソウ

 すし切り神事

ザゼンソウは、山の湿原や谷川のほとりなどに生える多年草で、滋賀県内では4カ所ほどの群落しかない比較的珍しい植物です。早春、葉が伸びるよりも先に開花しますが、一見、花のように見える紫がかった褐色のドームは、花を守る包で、その内側に立つ黄色い卵球状のものが小さな花の集まりです。包は、仏像の背後に立つ光背(仏炎)に似ていることから仏炎包と呼ばれ、また、ザゼンソウの名は、全体がお堂の中で座禅を組む僧の姿に見えることに由来します。
滋賀県高島市今津町にあるザゼンソウ群生地は、約20数年前に今津中学校の先生と生徒たちが偶然に発見しましたが、まとまった面積にザゼンソウが高密度に生育し、良好な自然環境を形づくっていることから、平成元年には滋賀県の「緑地環境保全地域」に指定されました。今津町では、毎年2月に※「ザゼンソウまつり」を開催、一般参加者を募って今津町の名所と群生地を歩く※「ザゼンソウウォーク」も盛況で、1月下旬〜3月下旬の開花期間に当地を訪れる観光客は約2万人に上ります。1000m²の湿原に茂る数千株のザゼンソウは、今津町の誇りであり、私たちみんなの宝物といえるでしょう。

ザゼンソウ

サトイモ科の多年草。
仏炎包の中央に花軸が立ち、その上部のふくらみに、小さな花が亀甲模様を描くようにぎっしりと並ぶ。サトイモ科に属するがコイモで増えるのではなく、夏にパイナップル状の実から種子が落ち、そこから発芽する。成長は遅く、花をつけるまでに7〜8年を要する。

取材協力:いまづ自然観察クラブ
※「ザゼンソウまつり」「ザゼンソウウォーク」のお問い合わせは、今津町観光協会/電話:0740-22-2108


もどる進む