建部大社 船幸祭と、かつての風物詩、シジミ船

 水面を錦秋(きんしゅう)にいろどる、石山寺のもみじ

瀬田川に架かる唐橋の東にある建部大社は、近江一の宮といわれた滋賀県でも有数の古社です。この建部大社では、毎年8月17日に日本武尊の故事に由来する船幸祭が行われます。重さ約1.5トンの大みこしを載せた御座船が、十数艘の船を従えて、夕闇の瀬田川を巡航。川岸のかがり火に映し出される華やかな光景は、まさに瀬田川にふさわしい、船が主役の水上絵巻を見るようです。
瀬田川に浮かぶ船といえば、かつては春先の川面を埋めつくしたシジミ船も風物詩のひとつでした。セタシジミは、琵琶湖固有種の二枚貝で、すでに縄文時代から食用とされ、食卓に欠かすことのできない湖国の恵みでした。ところが、近年、漁獲量は大幅に減少し、昭和60年頃には全盛期の約5パーセントにまで落ち込みました。
現在、瀬田川では流域の漁師のみなさんが力を合わせ、漁場の改善を図り、セタシジミを放流し、生育状況を調査するなど、増殖に向けた取り組みを続けています。セタシジミが増え続け、古来の漁法であるシジミ掻きが瀬田川に復活する日の来ることは、琵琶湖・淀川水系における環境再生の大きな道標となることでしょう。

船幸祭(せんこうさい)

石山寺の紅葉(多宝塔)
セタシジミ放流のようす
取材協力・写真提供:瀬田川シジミ管理協業体

8月1日のさかき立てに始まり、7日の納涼祭、15日からの献灯祭、16日の宵宮、そして17日に本祭りの船上渡御を迎える。
瀬田の唐橋からアクア琵琶手前の御旅所で神事を行い、再び、唐橋へと戻るコースを巡航。
川岸では70カ所にかがり火が焚かれ、船団が唐橋に戻る頃、クライマックスの花火大会がスタートする。

問い合わせ先:石山観光案内所 TEL.077-534-0706 建部大社 TEL.077-545-0038


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