伊吹山に遅い春を告げる白く小さなセツブンソウ

伊吹山に遅い春を告げる白く小さなセツブンソウ

 滋賀県の最高峰である伊吹山(約1,377m)に可憐なセツブンソウの花が咲くのは、天候によって差はあるものの節分を約1ヶ月以上も過ぎた3月中頃です。春から夏にかけて伊吹山では、セツブンソウの他にもショウジョウバカマなど、数多くの花が咲き乱れます。もともと伊吹山は日本のほぼ中央に位置し、南下してきた北方系植物や日本海側に分布の拠点をもつ植物も目にすることができます。山頂付近には高山および亜高山性植物に分類される花が咲き、また石灰岩地帯に多く見られる花々も分布し、伊吹山全体では約1,250種類を超える植物が生息します。さらに、名称に“イブキ”が冠された固有種も30種近くあり、植物学上もきわめて貴重な山といえます。
そして、伊吹山は古くより薬草の宝庫として広く知られた山でもあります。かつて、織田信長がポルトガルの宣教師に薬草園をつくることを許し、海外からも薬草を取り寄せ、この地に植えたと伝えられています。残念ながら、薬草園の跡はありませんが、ヨーロッパ原産の牧草であるキバナノレンリソウなどが古くから自生することから、おそらく薬草とともに移植されたと考えられます。平成6年には伊吹山の貴重な薬草をはじめとする多くの植物を育て、種の保存・育成を行う「伊吹薬草の里文化センター」が開館しました。
薬草園では珍しい花々が観賞でき、さらに、館内に設けられた浴場では薬草風呂も楽しめ、古くから地域に伝わる薬草文化に触れることができます。

伊吹薬草の里文化センター

セツブンソウ
写真提供:米原市

滋賀県米原市春照37 TEL.0749-58-0105

雄大な伊吹山をバックに建てられたレンガ造りの伊吹薬草の里文化センター。
施設内には薬草場のほか、文化ホール、多目的施設、図書室などがあり、
地域のシンボルとなっています。
伊吹モグサを入れたお風呂が好評で1人300円(子供150円)で入浴できます。


交通アクセス

JR東海道本線 近江長岡駅より約10分、
近江バス伊吹山登山口行き「ジョイいぶき」下車すぐ


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