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河川の取り組み

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第1回 地域の安心安全のために ~由良川の水災害と対策~

由良川流域にお住いの皆さんに、由良川のことを知っていただくために、3回の連載で由良川における近年の水災害と対策を紹介します。

第1回は、近年の水災害と関係機関と協力した福知山河川国道事務所における浸水被害を減らす取組みについて紹介します。

1.『暴れ川』の名を持つ由良川

由良川は中流部に標高の低い福知山盆地があり、そこから河口までの下流部では川幅が狭く勾配が緩やかになっていることから、中下流部ともに水災害が起こりやすい地形となっています。堤防がなかったころの由良川では、洪水がたびたび発生し、幾度となく住民の生命・財産が脅かされてきました。

由良川流域に暮らす人々は、洪水による被害を少しでも減らすため、高台に集落を造ったり、石垣で土地を高くして家を建てたりしてきました。安土桃山時代にこの地を治めた明智光秀は、それまで現在の福知山市街地を流れていた由良川の向きを変え、現在の流れにしたと言われています。

明治時代以降、土木工事によって浸水被害を減らす取組みを進めてきましたが、平成16年台風23号、平成25年台風18号などの洪水で大きな被害が発生しました。

明智光秀による由良川の改修(イメージ)

(1) 由良川の特徴

由良川の流域面積は1,880km2に及び、近畿地方では淀川、九頭竜川、熊野川に次ぐ大きさです。この流域の地形は、山地が約90%、平地が10%という典型的な山地河川の特徴を示しています。

上流部は渓谷や河岸段丘が発達した地形で、勾配が急で流れが速く、福知山盆地を流れる中流部では川幅が広がり、勾配も緩やかとなり、流れが遅くなります。

狭溢な谷底平野を流れる下流部では川幅が狭くなり、勾配もさらに緩くなることから、川の水が下流部で堰き止められ水がたまり、中下流部で水害が頻発していました。

由良川の地形と勾配

(2) 現代(明治~昭和)の水害

由良川では、明治期以降の記録でも、大きな水害が何度も起きています。

1) 明治29年の水害

明治29年(1896年)8月30日の朝から降り始めた雨は、夕方に豪雨となり、由良川は急激に増水し町や民家に襲いかかりました。最高水位は福知山で7.9mに達し、各所で堤防が決壊。死者200名、家屋の流失・全壊371戸、被害は由良川全域に及びました。
水害の記録写真

2) 明治40年の水害

明治40年(1907年)8月23日の午後から降り出した雨は、26日未明まで続き、空前の大洪水となりました。下流の河守での総雨量は536.2mm、最高水位は15mを記録し、福利山では、明治29年につづき音無瀬橋が流出。堤防も4ヶ所が決壊しました。
水害の記録写真

3) 昭和28年の水害

昭和28年(1953年)9月25日、台風第13号によるこの年3度目の洪水が発生しました。正午から夕方にかけて、由良川上流では時間雨量30~60mm、総雨量約500mmに達する豪雨となり、濁流が一気に中流・下流を襲いました。由良川は戦後最高水位7.8m、最大流量6,500m3/sを記録。当時すでに建設計画が確定していた大野ダムの計画規模の変更を必要とするほどでした。
水害の記録写真

4) 昭和34年の水害

昭和34年(1959年)9月26日、台風第15号(伊勢湾台風)が猛威を振るいました。夕方より京都一円は台風の暴風雨圏に入り、由良川本支流が増水越流。27日朝に台風が去るまで、暗夜の避難と救助で人々は大混乱に陥りました。大江町の総雨量は169.5mm、最高水位は12.5mに達しました。
水害の記録写真

5) 昭和57年の水害

昭和57年(1982年)8月1日、台風第10号により浸水被害が発生しました。8月1日午前より雨が降り始め、1日夜半には由良川上流域の降雨量が100mm 以上となり、その後も時間30mm 前後の雨が降り続きました。この降雨により、福知山地点では5.45mの最高水位を記録しました。
この洪水により、由良川流域では床上浸水40 戸、床下浸水65 戸の被害が発生しています。
水害の記録写真

(3) 近年(平成以降)の水害

1) 平成16年台風23号災害

日本列島付近に停滞していた秋雨前線と台風23 号の影響により、由良川流域において10月19日3 時頃より降り始めた降雨は、19日~21日にかけて流域全体で降り続け、ほとんどの雨量観測所で総雨量が250mm を超えました。この降雨により、福知山地点では7.55mの最高水位を記録しました。
この洪水により、由良川流域では死者5 名、床上浸水1,251 戸、床下浸水418 戸の被害が発生しました。

水害の記録写真
道路冠水状況

水害の記録写真
福知山市街地の氾濫状況

水害の記録写真
舞鶴市内でのヘリ救出状況

2) 平成25年台風18号災害

9月13日3時に小笠原諸島近海で発生した台風第18号は、発達しながら日本の南海上を北上し、14日9時に強風域の半径が500kmを超えて大型の台風となりました。
近畿地方では台風の接近・通過に伴って、前線や台風周辺から流れ込む湿った空気と台風に伴う雨雲の影響から、雨域が居座り、長時間にわたり強い降雨をもたらし、由良川沿川の4市(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市)では、浸水家屋約1,600戸、浸水面積約2,500haに及ぶ被害が発生しました。
由良川中流部の綾部市街地から下流の福知山市域に向けて、順次、左右両岸の進捗調整を図りながら堤防整備を進めてきたところでしたが、その施工途上の暫定施工区間や未整備区間から両岸に広範囲にはん濫し、浸水被害が拡大していきました。

沿川の被害状況
福知山地点の年最高水位(昭和28年~平成30年)

水害の記録写真
福知山市岩沢堤

3) 平成26年8月豪雨災害

8月15日から17日明け方にかけて、京都府では停滞する前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となり、局地的に雷を伴った猛烈な雨が降りました。
由良川流域では、多いところで、300mmを超える総雨量を観測し、福知山観測所では、16日6時から17日8時にわたって雨が降り続き、17日5時10分に最高水位6.48mを記録しました。
この降雨により、福知山市域で床上浸水1,155戸、床下浸水1,296戸、舞鶴市域で道路冠水11箇所などの被害が発生しました。

水害の記録写真
福知山市街地の浸水状況

福知山市街地の浸水被害の状況

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