水が足りない

洪水が多くの生命と財産を奪う

MARKこのコーナーでは、2003年3月に京都・滋賀・大阪を結んで開かれる「第3回世界水フォーラム」に向けて、いま世界で起こっているさまざまな水問題について考えます。今号は、世界各国に深刻な被害をもたらしている水不足を取り上げます。

水が原因で年間500〜1000万人が死亡

国連が2000年11月にまとめた水資源確保に関する報告書によると、世界で安全な飲み水が不足している人は10億人以上に上り、およそ25億人が適切な衛生サービスを受けていないことが明らかになっています。このような状況は、単なる水不足だけにとどまらず、水系感染症を招き、推定で毎日1万人〜2万人の子供たちが死亡していると考えられます。さらに、2025年には世界の約40パーセントの人口が深刻な水不足に陥る恐れがあるといわれます。

広がりつづける砂漠地帯

水不足と深くかかわる問題として土地の砂漠化があります。これは、地面からの蒸発散量が降水量を上回り、土が水分を失い、生産力をいちじるしく劣化させる状態をさします。今日、世界中で起こっている砂漠化は、過放牧、過灌漑、森林伐採など、人間が過大な収穫を得るときに数多く発生し、干ばつと重なることによって土地の生産力をさらに低下させ、荒地化から砂漠化を引き起こします。
わが国では、“水不足”や“砂漠化”の問題解決について世界各国にさまざまな形の援助や技術支援を行っていますが、私たち一人ひとりがこれらの水問題の危機的な状況を身近に感じ、水の大切さを再確認することも重要なことでしょう。

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たくさんのお便りをありがとうございました。

毎年夏休みは琵琶湖へ行くようになって10年近くになります。ここまで来ると知り合いも多くなり、皆さんに何故いつも琵琶湖ですかと聞かれます。答えはひとつ好きだから。湖もだいぶきれいになりました。少しずつ魚も増えて来ているようですし、うれしいことです。

(東京都 F.S)

一言一句興味深く拝読しました。実は去る7月19日に休暇村近江八幡に宿泊、翌日沖島をたずねる予定が、ある事由により変更、実現できなかっただけに沖島の内容を知り、大変勉強になりました。

(愛知県 M.K)

たまに琵琶湖で釣り糸をたれてみることがあるのですが、やたらとブルーギルばかりあがってきます。何とも不気味で最近やってみようという気がなくなっています。

(滋賀県 S.T)

琵琶湖の水質が北湖でも悪化しているようですが、昔、私が西浅井の菅浦でしばらく生活していた頃は、早朝琵琶湖の水を汲んできて飲料水に使っていたのです。もちろん、その頃は三面コンクリートの川はありませんでしたが、小中の河川には魚が群れていました。今は、川とのかかわりが全く無いと言ってもよく、 7月の琵琶湖清掃作業の時、地区排水溝の掃除に参加するぐらいです。高時川が夏の遊び場だった頃が懐かしいです。

(滋賀県 S.H)

子供達と大阪市の下水道科学館へ出かけてビワズ通信を見つけました。主人が琵琶湖のすぐそばで育った人なので、水上バイクなどで占領され、汚れてしまった琵琶湖の姿に愁いています。沖島には常々、一度行ってみたいと思っていました。本誌を参考に是非一度立ち寄りたいと思います。

(大阪府 K.M)

浸水被害から地域を守る「内水排除」について

大雨や台風による豪雨がもたらす琵琶湖沿岸の浸水被害から地域を守る「内水排除」について前号では、その必要性についてご紹介しましたが、今号は「内水排除」のしくみをご説明します。

1. 平常時。水は水門を通って内陸側から琵琶湖へ

内陸側に降った雨は、各河川より湖岸堤の水門を通って、琵琶湖へと注ぎます。

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2. 水が自然に琵琶湖へ流れる間は、水門を開けたままに

大雨が降り続くと、琵琶湖も内陸側の河川も水位が上がり始めます。琵琶湖の水があふれるおんを湖岸堤が防ぎます。河川では、琵琶湖へ注ぐ水よりも、流域から河川へ流れ込んでくる水の量が上回ると、周辺にあふれ始めます。しかし、琵琶湖の水位が内陸側よりも低く、河川の水が琵琶湖へ流れている間は、ポンプは動かさず水門は開けたままにしておきます。

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3. 内陸側の水が流れなくなったら、ポンプ運転を開始

さらに水位が上昇し、琵琶湖の水位が内陸側の水位に近づいてくると、琵琶湖へ注ぐ水の勢いが弱まります。琵琶湖の水が徐々に逆流するおそれがあるので、まずポンプを運転し、様子を見ながらポンプから近い場所にある水門から順番に閉めていきます。

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4. 水が逆流してきたら、水門を全閉し、ポンプをフル稼働。

琵琶湖の水が逆流を始めると、水門を全閉し、ポンプをフル稼働して、一気に水を汲み出します。

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5. 逆流しなくなったら、ポンプ運転終了

内水排除の効果で内陸部の水位が下がり、水がたまっている区域は減っていきます。しかし、長雨の場合、内陸側の水位が再び上がる可能性があるので様子を見て、ポンプを動かし続けます。やがて、琵琶湖の水位が内陸側よりも下がり、逆流の心配がなくなると、水門を開けてポンプの運転を停止します。

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