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河川の取り組み

River Project

第2回由良川水系流域委員会資料

1.由良川水系河川整備基本方針、治水計画に関する資料

(1)治水計画に関する資料

1.既往洪水の概要

由良川は、戦前まで大規模な河川改修が成されておらず、殆ど無提に近い状態であったことと、地形的にも綾部より上流は急勾配河川で流れが速く、綾部~福知山間の平地では緩い勾配で流れが遅くなり、福知山を過ぎると再び山間地となり川幅が狭くなる上に、河床勾配も極端に緩くなるため、ますます、上流から流れ出た洪水流は福知山盆地で溜まることになり、大雨となれば絶えず洪水災害が発生してきた。

明治以降、比較的大きな被害をもたらした著名な洪水を以下に示す。
(1)明治29年8月洪水
 8月31日より、翌月2日にかけて福知山では由良川の水位が2丈6尺まで増水し城跡北麓の朝暉口、京口上番所裏・広小路・常照寺裏等の堤防が70間決壊した。この災害で家屋・土蔵・納屋等の流出183棟、全壊188棟、死傷者200人に及ぶ災害であった。 
 このときの府下全域の被害は、死者341人、負傷者312人、行方不明18人、流出家屋1,721戸であったが、そのほとんどが由良川流域に集中していた。
 
(2)明治40年8月洪水
 大江町では、24日より降雨が続き、一旦は小康状態を保っていたが25日午後2時ごろからは大豪雨となった。総雨量は、河守で536.2mmを記録し、最高水位15mという古今に類例のない大洪水となった。
 福知山市では、増水によって由良川の水位は26日に2丈8尺(=8.48m)あるいは3丈以上ともいわれるまで上昇し、上柳町裏・広小路・明覚寺裏・京口及び朝暉口の堤防が決壊した。中でも内記町筋の被害が甚大となり倒壊・流失家屋277戸となった。
 この洪水で由良川流域は壊滅的な痛手を受け、由良川自然堤防上の集落はその後の移転を余儀なくされた。
 
(3)昭和20年10月洪水(阿久根台風)
 福知山では、8日から11日まで降雨が降り続き、由良川・土師川は増水し最高水位は6.0mに及んだ。被害は、堤防決壊箇所4カ所(249m)、橋梁流失12カ所、住宅全壊14戸、半壊63戸、流失34戸、床上浸水4,748戸、床下浸水335戸、死者3人、負傷者2人に及び、戦争で疲弊していた福知山市民にとっては過酷な災害であった。
 大江町では、8日夜から11日に至る215mmの大雨で大水害となり、多数の被災者を生じた。敗戦直後の人手不足と食料難の中で被災者は困窮を極めた。
 
(4)昭和28年9月洪水(台風13号)
 台風13号が紀伊半島から東海地方に抜ける25日正午から夕刻にかけて由良川上流では、時間雨量30~60mm、総雨量が約500mmにも達する降雨があり、明治40年の大洪水をしのぐ大水害となった。
 この水害で福知山市では、市内主要橋梁が次々と流失し市外への陸路交通が寸断され渡船を強いられた。また、由良川改修第二期工事として着手されていた音無瀬橋の延長工事が築堤ごと根こそぎ押し流された。和久市グランド付近の完工間もない由良川新堤防も2カ所が300m決壊している。この影響で市街地の浸水深は8.1mにもおよび、被害家屋数5,500戸に達した。今でも御霊神社の鳥居横に当時の水位を示す水位標がある。
 綾部市では、由良川の支川上林川流域で、滝のような大雨が数時間降りつづき上林谷に未曾有の大惨害をもたらした。また、綾部市内でも、綾部唯一の観光地帯並松河畔は惨たんたる残がいを横たえ、綾部大橋下流の堤防約300mが根こそぎ流失し市街東北部が浸水し、郡是製糸工場地帯やその周辺の社宅、一般民家は全面的に床下あるいは床上浸水し、吉美社宅はわずかな残がいを残し全戸流れ去った。
 大江町では、25日早朝には先ず由良川各支川が氾濫し、堤防や道路の決壊が相次ぎ、由良川本流も急速に増水して家屋に浸水し始めた。1時間に水位が65cmの早さでふえる濁流に追いたてられ、高台へと逃げる避難者で大混乱となり、役場周辺の約10戸と河守上地区を除く由良川沿い全域の家屋と耕地が水中に没し去る大水害となった。
 
(5)昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)
 9月26日夕刻から京都府一円は、超大型台風である15号の暴風雨圏に入り、舞鶴で350mm、その他の地域でも200~300mmに達し、由良川が増水越流して福知山市で全壊・流失10戸、半壊103戸、床上浸水3,473戸、床下浸水1,644戸の被害を受けた。
 大江町では、総雨量が169.5mmに達し、大雲橋地点水位が12.5mと昭和28年災害以来の高水位となり由良川本支川が氾濫し、孤立状態になった。大江町長の緊急要請によって大江町へ応援出動した福知山自衛隊無電班も進路を断たれて引き返さざるをえなかった。
 
(6)昭和47年9月洪水(台風10号)
 9月16日に台風20号の影響で秋雨前線の活動が活発となり、比較的短時間に多量の雨が降った。このため、23時49分に警戒水位に達し、17日5時40分には最高水位6.15mになり、福知山市内では河川が氾濫し、家屋や田畑、道路など多大な被害を受けた。また、由良川沿川での田畑のほとんどが冠水し、家屋も相当数浸水被害を受けた。
 大江町では、住家全壊2棟、半壊32棟、浸水255棟などの被害が発生した。
 
(7)昭和57年8月洪水(台風10号)
 8月1日夜半には、由良川上流域の降雨量が100mm以上となり、その後もなお時間30mm前後の雨量が続き、由良川の水位が急速に上昇した。
 福知山では2日7時に5.46mの最高水位を記録し、綾部より下流沿川の家屋の床上浸水55戸、床下浸水100戸および田畑の冠浸水884ha、堤防・河岸の崩壊等の被害が生じた。
 大江町では、床上浸水29戸、床下浸水21戸、耕地424haの冠水被害を受けた。なお、この洪水は、由良川の流下能力を1,000m3/sにする河道掘削工事が大江町域で完成した直後のものであり、その分被害が軽減された。
 

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