用語集

パーソントリップ調査でよく使用される用語について説明します。

パーソントリップ調査とは

交通の流れのもととなる「人(パーソン)の一日の動き(トリップ)」を把握することを目的として、人がどこからどこへ、どういう交通手段を使って、どの時間帯に移動したか、などを調べる調査のことです。

トリップとは

ある1つの目的での、出発地から到着地までの移動をトリップといいます。図1を例にすると、目的は「会社に行く(出勤)」ですので「1トリップ」となります。

図1 トリップの例

トリップの目的について

トリップの目的は大きく次の5つに区分されます。
・出勤:一日のうち最初に勤務先へ行ったトリップ
・登校:一日のうち最初に通学先へ行ったトリップ
・自由:買物、食事、レクリエーション等、私用のためのトリップ
・業務:配達、会議、農作業、帰社等、仕事のためのトリップ
・帰宅:自宅へのトリップ

リンクトトリップとアンリンクトトリップとは

1つの目的を達成するための移動(トリップ)をリンクトトリップ(目的トリップ)といいます。一般的にトリップというと、リンクトトリップをさします。
また、徒歩・バス・鉄道・徒歩など、リンクトトリップ(目的トリップ)を達成するために使用した交通手段をアンリンクトトリップ(手段トリップ)といいます。
図1でみるとリンクトトリップ数は1、アンリンクトトリップ数は4となります。

トリップとトリップエンドについて

1つのトリップにおける出発地と到着地を「トリップエンド」といいます。1トリップには発と着の2つのトリップエンドがあります。
図2でみると、トリップ数は3、トリップエンド数は6となります。

図2 トリップとトリップエンド

外出率とは

外出した人の全人口に対する割合のことです。
値が高いほど「外出している人が多い」ということになります。

代表交通手段とは

目的は同じですがそれぞれ違う複数の交通手段を利用した場合、利用手段の中から主な手段を表します。これを「代表交通手段」といいます。
第5回近畿圏パーソントリップ調査での優先順位は、航空機・船舶、鉄道、バス、乗用車、自動二輪・原付、自転車、徒歩の順となっています。(図3参照)
図1でみると、代表交通手段は鉄道1トリップとなります。

図3 代表交通手段の優先度

交通手段分担率とは

トリップ全体から、それぞれの交通手段がどれくらい利用されているかを示す割合です。

生成量、生成原単位、発生量、集中量、発生集中量とは

・生成量とは、ある地域に居住する人が引き起こすすべてのトリップ(単位:トリップ/日)をいいます。(図4のA+B+C+D)
・生成原単位とは、ある地域に居住する人が行う1人1日あたりの平均トリップ数のことをいいます。「グロス生成原単位」と「ネット生成原単位」の2つがあります。
・発生量とは、ある地域を出発(発生)するトリップ(単位:トリップ/日)をいいます。(図4のA+D+F+E)
・集中量とは、ある地域に到着(集中)するトリップ(単位:トリップ/日)をいいます。(図4のC+D+F+G)
・発生集中量とは、ある地域の発生量と集中量を加えたもの(単位:トリップエンド/日)をいいます。(図4の(A+D+F+E)+(C+D+F+G))

図4 生成量、発生量、集中量、発生集中量の数え方の例

OD量とは

ODとは、Origin(出発地)-Destination(到着地)の略語です。ある地域を区分(ゾーニング)し、トリップがどのゾーンから出発してどのゾーンに到着したかを、一定の時間内分にまとめたものです。

OD表とは

起終点間の交通量を表であらわしたもので、表の行方向が起点、列方向が終点を示します。
図5でみると、B市からD村に移動した場合の交通量はαとなります。


図5 OD表のイメージ

内々トリップとは

出発地、到着地が同じ地区で発生したトリップのことです。
図6でみると、A地区という基準でトリップをみた場合には以下のようになります。
①同じエリア内   → 内々トリップ
②外のエリアを含む → 内外トリップ
③外のエリアを含む → 外内トリップ
④エリア外     → 外々トリップ


図6 内々トリップについて

アクセス交通、イグレス交通とは

複数の交通手段を利用する場合、主な交通手段に至るまでの交通をアクセス交通といい、主な交通手段の後の到着地までの交通をイグレス交通といいます。

駅端末量とは

鉄道を利用するために出発地から駅に向かう人の量(乗車側)と、鉄道駅から目的地へ向かう人の量(降車側)の合計(乗降計)です。

駅末端交通手段とは

出発地から鉄道駅(または、鉄道駅から到着地)までに利用した交通手段のことです。図1でみると乗車端末手段は「バス」、降車端末手段は「徒歩」となります。交通手段が複数の場合の優先順位については「代表交通手段」を参照ください。

駅勢圏とは

鉄道駅を中心とした、その駅を利用する人や貨物などが存在する範囲のことです。
ある駅の駅勢圏を半径1kmの範囲としたとき、図7のようになります。


図7 駅勢圏について

滞留人口、移動人口とは

ある時刻で、自宅もしくは自宅以外の施設にいる人口を滞留人口とよび、トリップ中と推定される人口を移動人口とよびます。

ゾーニングとは

パーソントリップ調査では集計・分析を容易に行うことができるようにするため、調査項目のなかの住所、勤務先・通学先、出発地、到着地をコード化しています。
このコード化を行う際に、集計・分析、データの活用等を考慮した上で、一定の広がりをもつ地域をゾーンとして設定します。この作業をゾーニングと呼びます。