防災の基本は、自分の命は自分で守ることです。これを「自助(じじょ)」と言います。
誰かが「ひなん所に行こう」とさそってくれるまで待っていてはダメです。
雨や川の水位の情報を自分でとって、自分で判断することが、自分で守るということです。
※平成16年台風23号のとき
「家が水に浸かりそうなので、土のうを持ってきてほしい」と多くの人々が、豊岡市役所や消防にたのみました。しかし、豊岡市役所や消防は、円山川や出石川の土のうづくりや土のう積みなどで手いっぱいで、市民の要望すべてに応えることは、とてもできませんでした。 大きな災害になればなるほど、豊岡市役所や消防などの役所は、市民にいつも通りのサービスをすることがむずしくなるのです。
となり近所の人と力を合わせてみんなを守ることを「共助(きょうじょ)」といいます。「こまったときは、おたがいさま」という助け合いです。台風23 号のときは、住民らによる消防団が、水がたくさんつかりそうな地区で土のうを積んだり、ケガをした人を病院へ運びました。
ひなんするときに、「ひなんしましょう」と、大きな声をだしてみんなに伝えるのも、共助です。
ひなん所に行ったら、元気な人はボランティアとしていろいろ手伝いましょう。
一方、警察や豊岡市役所、県、国や自衛隊などの役所が行うことを「公助」といいます。
台風23 号では、豊岡市役所や町役場は避難指示を発令したり、危険なところがないかパトロールしたり、避難所を開く準備などをしました。
国土交通省豊岡河川国道事務所は、円山川の堤防を点検したり、水位情報や洪水予報を市町に伝えたり、水門や排水ポンプの操作を指示しました。
災害が大きければ大きいほど、役所の仕事はたくさんあるので、自助と共助が中心になります。
自然災害や火事、事故など、自分に危険がせまっていても、「大したことない」と思ってしまいがちです。自分にとって都合の悪い情報を無視したり、「自分はだいじょうぶ」と思うのは、自分には大変なことはおこらないと、思いこむ“落とし穴”です。
悪い情報をしっかり受け取り、正しく判断しましょう。
「みんながしているから、だいじょうぶ」と勝手に安心してしまうのも“落とし穴”です。
みんなと同じ行動をとると、みんながいっしょに被害にあい、大きな災害になってしまうことがあります。
自分に都合のよい言いわけをつくって、何もしない心理のことです。
たとえば、「大地震がくる確率は高い。自分の家は地震でこわれるおそれがある」のに、「だいじょうぶ」「なんとかなる」と都合の良いように思いこむ“落とし穴”です。
正しい理由もないのに、いいかげんな思いこみやいいわけをして、備えをせずに放っておくのはやめましょう。
「ひなん指示が出るまで、ひなんしなくてもよい」のではありません。
ひなん指示とは、市町村が住民に「ひなん場所にひなんしてください」とすすめることです。ひなん指示が出たら、まわりの安全を確かめてひなんしなければなりません。
しかし「ひなん指示がでるまでひなんしなくてよい」のではありません。このように、うら返しに読み取るのは大まちがいです。ひなん指示がなくても、早めにひなんします。
浸水するところを色分けした「防災マップ」は、色のぬってあるところが水につかる可能性のあるところです。
しかし、「色のぬってないところは水につからない」と、うら返しに考えてはいけません。
想定以上の雨がふったり、想定していない、別のところの堤防がくずれることもあります。それに、水害のときに地震がおきて、もっと多くの場所で堤防がくずれるかもわかりません。
自然災害をゼロにするのは不可能で、危険のないところはありません。色がぬってないからと、安心してはいけません。
自分で自分の命を守るためには、自分で情報をとって判断しなければなりません。
災害では情報がいちばん重要です。市町村から住民にだされる情報だけにたよらず、自分で正しく最新の情報をいつでもとることを、習慣にします。
円山川が危険な水位まで上がっているのを知れば、「あぶないから、明るいうちに避難しよう」などと、対策を考えられます。しかし、水位の状態を知らなければ、行動しないし、できません。
また、災害のときに市町村から住民に出されるひなん指示が、地域によってぴったりあてはまらないこともあります。だから、やっぱり、自分で判断するための情報を、自分で取ることが大切なのです。
豊岡市役所では、すべての世帯に防災行政無線の受信機が貸し出されています。この無線で放送されるのは、とても重大な内容です。しっかり聞くために、いつも家族みんながいる場所に置きます。
テレビやラジオのニュースで、天気予報をしっかり聞きます。
NHKテレビをつけているときに<dボタン>を押すと、データ通信を見ることができます。「防災・生活情報」では、雨や川の水位、天気、災害についてのリアルタイム情報がわかります。
インターネットではいつでも、天気予報や雨雲の動き、川の水位や、川の映像をリアルタイムにくわしく見ることができます。 これらのサイトにブックマークをつけるなどして、いつでもすぐにアクセスできるようにセットしておきます。自分で調べられないときは、大人に調べてもらいます。
国道9号、北近畿豊岡自動車道、播但連絡道路(兵庫県)、舞鶴若狭自動車道(NEXCO西日本)と円山川のいまのようすを写真で見ることができます。円山川の雨量と水位が最新の2日間分わかります。 | |
国土交通省豊岡河川国道事務所 | 但馬地方の防災情報のサイトにリンクできます。 現在の円山川の雨量、水位、川の中の様子が動画でわかります。 |
とよおか防災ネット (豊岡市インフォメーション) |
豊岡市と兵庫県が発表している<緊急(きんきゅう)情報>や<お知らせ>がわかります。 |
川の防災情報(国土交通省) | くわしい雨量・川の水位・水質・積雪、ダムの水位や放流情報、洪水予報や水防警報などがわかります。 |
気象庁の天気予報 | 天気予報から衛星画像、過去の気象データまで、気象情報の総合サイトです。 |
ナウファス (全国港湾海洋波浪情報網) |
全国75 観測地点(2013年3月現在)のリアルタイムの波の様子、2001 年から昨年までのデータがわかります。 |
地震計ネットワークによる地震観測情報 | 最新の地震の震源・大きさ・各地点の震度がわかります。 |
国交省ハザードマップポータルサイト | 浸水想定区域、洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ、火山ハザードマップ、水につかったり海水などをかぶったりすると想定される道路の場所、事前に通行規制される場所、緊急の輸送路、地震がおきるかもしれない都市圏の活断層図がわかります。 |
近畿地方の道路情報 | 国道や高速道路の通行止めや規制、工事、じゅうたいなど、道路の通行についてわかります。 |
近畿地方の道路冠水危険箇所マップ | 水につかりやすい危険な道路が、わかります。 |
近畿地方整備局の防災ポータル | 上記でしょうかいしたリンク先が、すべてわかります。 |
水害の時は、早め早めに自分で判断して、ひなんしなければなりません。
「となりの人が避難していないから、まだ、だいじょうぶ」と考えないで、正しい情報をもとに決めます。
水の深さが3m 以上になると、建物は水に流される危険があります。堤防の近くに住んでいる人は要注意です。
ハザードマップで浸水深さが3m 以上のところは、2階まで水に浸かります。こんな場合は、ひなん所にひなんしないと命を失う可能性があります。
もし避難するのが遅れて、水位が高くなってしまったら、自宅の二階や近所の建物の高いところに逃げます。
また、暗くなってからのひなんも危険です。明るいうちに、浸水が深くならないうちに、ひなんしましょう。
水害の時に出かけると、ケガをしたり、事故にまきこまれやすいです。
まして車で出かけると、雨でスリップ事故をおこしたり、道路じゅうたいのもとにもなり、救助活動をする車がすばやく現地に行けなくなります。
気象の異常や災害が発生しそうなときは、外出はやめましょう。
大雨のときは、車ならスリップしたり、交通事故をおこしやすくなります。そのうえ、災害のときに交通量が増えると、じゅうたいがおきやすいです。じゅうたいになれば、救助活動の車がスムーズに通行できなくなります。
また、災害がおきたところでは、消防車やパトカーなどの緊急車両しか通行できなくなることがあります。うっかり車で外出して、遠回りして帰らなければならないこともあります。
通行禁止区域で緊急(きんきゅう)車両を妨げる車があれば、警察官がその車を移動させることがあります。また、国や県や市町などの道路を管理する人たちが、車を移動させることもあります。車を移動させるとき、車を傷つけたりしても仕方がないことになっています。
災害のときに車を使うのは、自分のためにも、みんなのためにも、大切な車のためにも、やめましょう。
もし、車で外出したときに洪水にあったら、水のたまっているところをさけて走ります。
道路や線路の地下をくぐっている通路(アンダーパス)や一段低くなっている道路は、洪水が集中します。そんなところを車で走ると、マフラーや吸気口に水が入り、エンジンが止まります。車の吸気口やマフラーに水が入るとエンジンが止まります。外に出ようとしても、ドアが水の圧力で開かなくなって死亡する、という事故が何度もおきています。
だから、そういうところを通らない道順を、日ごろから決めておきます。
国(国土交通省)は、災害があればすばやく現場にかけつけます。TEC-FORCE(テックフォース)という人たちです。
TEC-FORCEは国ではたらいている人たちで、災害があると、ふだんの仕事を中断して、現場に行くのです。
現場では、どこでどんなひがいがおきたかを調べたり、くずれた川の堤防(ていぼう)や道路や橋をすばやくなおしたり、市町村の手助けもします。ひがいを受けた市町村はとてもいそがしいですし、もともと市町村には道路や川の技術者がほとんどいないのです。だから、国の技術者が市町村を手助けするのです。
TEC-FORCEの人たちは、ひがいを調べてすばやくなおすだけでなく、本格的な復旧の方法などを市町村に提案します。大きな災害では、市町村がこまっていることを何でも行います。災害現場をたくさん経験しているので、とてもたよりにされています。
TEC-FORCEの人たちは災害のときに役立つ特別な車を持って、現場に行きます。特別な車はいろんな種類があります。豊岡河川国道事務所に行けば、見ることができるものもあります。
まちが水びたしになったときに、水をすいあげて川にもどす作業をします。25mプールを10分でいっぱいにできます。
平成16年(2004)台風23号のときは、24台の排水(はいすい)ポンプ車が豊岡ではたらきました。
くずれた川の堤防(ていぼう)や道路をすばやくなおすときは、24時間休みなしで作業をしなければなりません。警察や自衛隊(じえいたい)が暗いところで救助活動するときも、照明車が必要です。
電気が止まってしまった、ひなん所のあかりとして使われたこともあります。
車の中が事務所のようになっていて、連らくや資料づくりができます。
東日本大震災では、建物がなくなった市役所の人たちに、仕事場として使ってもらったこともあります。
衛星を使って、どこからでも通信できる機械をのせた車です。アンテナをセットしたら、動画など、なんでも送ることができます。