コウノトリはむかし日本のどこにでもいた鳥でした。田植えしたあとの稲をふみあらす害鳥だったので、つかまえていました。しかし、第二次世界大戦後から、田畑や円山川の工事などで、コウノトリがエサをとる湿地(しっち)が少なくなってしまいました。また、農薬をたくさん使っていたので、エサとなる生き物がいなくなり、コウノトリはどんどん減りました。昭和46年(1971)に、豊岡にいた日本最後の野生のコウノトリが死んでしまいました。
昭和35年(1965)の加陽(かや)地区の湿地(しっち) 写真:富士工芸社
豊岡ではコウノトリが減りつづけているときから、コウノトリを人工的にふやして、野生に返すことを兵庫県、豊岡市、住民のみんなで決めました。そして、ヒナが生まれるよう、いろんなことに取り組ました。野生のコウノトリがいるということは、きっとほかの生物にも、人間にも良い環境(かんきょう)になると信じているからです。なかなかうまくいきませんでしたが、25年目の平成元年(1989)に、ようやくヒナが生まれました。
そして、平成15年(2003)から、コウノトリも住める豊かな環境にしようと、国、兵庫県、豊岡市と住民みんなが協力しています。虫や鳥に害虫を食べてもらうような農業に変えたり、円山川の中に湿地(しっち)をつくったりしています。湿地(しっち)は、コウノトリだけでなく、生き物がエサをとったり、卵をうんだり、子育てをするのに、とても住みやすいところだからです。
新しくできた湿地(しっち)では、自然を学べる場として小学生が生き物を調べたりしています。
また、平成24年(2012)に、湿地(しっち)を守る国際的な約束をしました。「ラムサール条約」という約束です。湿地(しっち)を守るためにこれからも、みんなで協力していかねばなりません。
円山川水系整備基本計画の中の工事として進めています。
ひのそ島の湿地でエサを食べるコウノトリ
<加陽地区によみがえった湿地(しっち)>
<立野地区によみがえった湿地(しっち)>
加陽地区の湿地(しっち)では、みんなで生き物を調べています。
八代川が円山川に合流するところにつくった魚道
寺内第一ひもんにつくった魚道
円山川水系自然再生事業の工事を進める。
県立コウノトリの郷公園でコウノトリをふやし、野生にもどす。
農薬や化学肥料をあまり使わないで、さまざまな生き物が育つ稲作技術を広める。
より多くのコウノトリを野生にもどす(コウノトリ野生復帰(やせいふっき)プロジェクト)。
コウノトリを調査したり研究するグループを手助けする。
農薬や化学肥料をあまり使わないで、さまざまな生きものが育つ稲作を行う。
使われなくなった農地を湿地(しっち)にしたり、いまある湿地(しっち)に、石を入れたり、水をためるための畦(あぜ)をつくったりして、生き物が住みやすいように改善する。
生き物調査や自然観察を行う。