また、昭和40年に全国初となる都道府県が設置・管理する大阪府寝屋川流域下水道※5が事業着手され、昭和45年には大阪府安威川流域下水道中央処理場が万国博覧会にあわせて全国初の流域下水処理場として供用開始しました。
しかし、殆どの市町村は昭和40年以降に下水道に着手しており、まだ30年余を経過したに過ぎません。
近畿の下水道の整備状況は、平成15年度末までに2府5県358市町村のうち277市町村で処理を開始しています。下水道の処理人口普及率※6は全国の66.7%に対して79.7%、他の汚水処理(農業集落排水、合併浄化槽など)を含めた汚水処理人口普及率※7では全国の77.7%に対して87.4%と高く、積極的に整備を進めてきました。
しかし、いまだ汚水処理サービスを受けられていない人が近畿地域で270万人(12.6%)存在し、その殆どの人が地方部の中小市町村に居住しているため、その整備普及が重要な課題となっています。
※4) 太閤下水:豊臣秀吉が大阪城築城の際に建設した下水道。現在も、大阪市内で約20kmが使用されている。
※5) 流域下水道:2以上の市町村にまたがる下水道で都道府県が設置し管理する。市町村が設置・管理するのは公共下水道。
※6) 下水道処理人口普及率:下水道の普及状況を示す指標で、下水道を利用できる状態にある人口を行政人口で除した割合で示す。
※7) 汚水処理人口普及率:下水道のみならず、類似施設である農業集落排水(農林水産省)や合併浄化槽を利用できる状態の人口を元に算出した普及率。(図中の「コミプラ」とは正式にはコミュニティ・プラントといい、開発団地などで開発者等が設置する小規模の処理施設を指す。)
近畿では、比較的早くから水質改善に取り組んでおり、河川や湖、海などの公共用水域の水質保全のために下水処理場への高度処理の導入を進めてきました。
※11) BOD,C O D :水質汚濁を示す代表的な汚れの指標で、数値が大きいほど汚れていることになる。B O D は、水中の微生物が汚れを栄養源として増殖・呼吸するときに消費される酸素の量を指し河川の汚れの指標に用いられる。C O D は、水中の非酸化性物質が一定条件のもとで酸化剤によって酸化されるのに要する酸素量で湖沼・海域の汚れの指標である。
※12) 合流式下水道:家庭のトイレや台所などから発生する汚水と、家屋の屋根や道路などに降った雨水を同じ1本の下水管で集め処理場へ送る下水道のこと。汚水整備と雨水整備を同時に行えることから、施工が容易かつ安価な利点を有しているため、早くから下水道に着手してきた都市に多く採用されている。しかし、雨天時には処理場へ下水(汚水+雨水)が到着するまでに、一定水量を超えた下水は下水管の途中に設けられた吐き口と呼ばれる施設から河川等へ溢れ出るため、衛生的・水質的に問題視されている。近年は、汚水と雨水を異なる下水管で集める分流式下水道が主流である。