国土交通省地方整備局ロゴ 近畿地域の下水道ビジョン 下水道イメージ
国土交通省 近畿地域の個性を生かし、次世代によりよい 水環境を引き継ぐ下水道を目指して
はじめに
「近畿地域における下水道ビジョン」の構成
策定にあたって
近畿地域の概況
近畿地域の特色
人と水との関わり
近畿の下水道の現状と課題
下水道ビジョンの理念
下水道ビジョンの視点
近畿地域の下水道整備の将来像
将来像実現に向けた4つのプロジェクト
プロジェクト1:快適・安全
プロジェクト2:再生・保全
プロジェクト3:リサイクル・地球環境保全
プロジェクト4:住民協働・流域連携
ご意見と回答
下水道ビジョンの視点
 近畿地域の下水道ビジョンは、次の3つの視点から下水道整備における中長期的な将来像を定めるものです。なお、中長期とは概ね20年を想定しています。

■近畿地域の下水道を取り巻く環境の変化に対応する
下水道ビジョンの視点 近年、近畿でも地域の活性化やまちづくりといった視点からの都市再生への取り組みが進められています。

 これと併せて、下水道は豪雨や地震といった災害に対するまちの安全度の向上に努めていく必要があります。また、循環型社会の構築や地球温暖化への対応など地球規模の課題を含めた環境問題が顕在化しています。川や湖、海の保全・再生、潤いとゆとりをもたらす身近な水辺空間の整備、おいしい水を求める志向など住民からの水に対するニーズも高まりつつあります。

 こうした多様なニーズの中で、右記の項目が今後の下水道に求められているものと言えます。

 これらの求められる下水道の姿を実現するため、近畿地域の下水道としては、都市の形態や下水道整備
の状況等、地域の実情にあわせて、重点課題や下水道の形態ごとに選びながら効率的に進めていきます。
近畿の下水道普及率の推移■近畿の個性・特色を最大限に
発揮しうるものに重点化する


 近畿の下水道の処理人口は、20年前の昭和58年度末の950万人(普及率46%)から平成15年度末現在1,710万人(同80%)とこの20年間で760万人も増加しました。

 しかし、都道府県構想※ 14による下水道整備人口はまだ270万人もの普及が必要です。数字上では、これまでの20年間の整備レベルからすれば容易に目標達成できるようですが、今後整備が必要な地区は集落が点在している箇所や人口密度が低く下水道整備量に比べ普及人口増割合が小さい箇所が残っているほか、財政力の低い中小市町村で事業着手まで至ってない状況があるなど、数字ほど容易に普及を進めることが難しく、課題は多いと言えます。


 また、水環境の面から見ると、淀川本川(枚方大橋地点)の水質は、BOD で昭和57年に5.0mg/l程度でありましたが、平成13年では環境基準値の3m g/lを下回る2.0m g/lと改善してきています。これは、下水道の普及と高度処理の取り組みの成果と言えます。しかし、閉鎖性水域の琵琶湖・大阪湾においては、窒素、リンなどの富栄養化の原因となる物質への対策が十分進んでおらず、環境基準が達成されていません。

 近畿は、全国的には高度処理等の取組みを先進的に実施していますが、まだまだ低水準です。

 以上のことから、今後の下水道の進むべき方向としては、整備の概成した地域においては水循環の再生や水環境の創造、さらには循環型社会への貢献といった次なる課題に取り組んでいくという方針の転換が必要です。また、普及の遅れている地域ではこれらの考えを入れつつ着実に普及を促進させることが重要です。

 この方針の転換は、近畿の個性・特色である「都市と豊かな自然環境の共生」を最大限に発揮し、近畿が持続的な発展を継続していくためには不可欠と考えられます。

※1 4) 都道府県構想:市町村内のどの区域をどのような汚水処理手法(公共下水道・農業集落排水施設・浄化槽など)で整備するかを明確に示したもので、都道府県が策定する(正式名称:全県域汚水適正処理構想)

BOD75%値
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■下水道に期待される役割を効率的かつ効果的に実現する
住民の参画できる仕組みづくり

 近畿地域は、経済低迷の長期化や国及び自治体双方における財政の逼迫化、少子高齢化の進行など、社会経済情勢は厳しさを増してきています。そうした中で、下水道はこれまで以上に整備及び管理の効率化が求められるとともに、行政の透明性の向上が強く求められていることから、事業の実施にあたっては地域住民に分かりやすい説明と立案過程からの住民の参画ができる枠組みとプログラムが必要不可欠となってきています。
 
住民の参画による下水道施設の管理
住民の参画による下水道施設の管理
流域内の多様な主体との連携・協力

 雨水対策や水質改善に関する施策は、水の流れを考えると本来は流域単位で検討することが自然であり、流域を中心とした下水道整備を進める上では、市町村間や府県間での連携や、河川部局等の関係機関との連携が重要になります。特に、流域の上下流域での役割分担や費用負担などに関する合意形成は、健全な水循環やよりよい水環境を効率的にかつ効果的に実現させるためにも必要となっています。
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