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琵琶湖・淀川流域圏の現状と課題

自然環境 (2)水域の生態系

現状河川の形状、生物の生息・生育・繁殖環境

湖岸整備や土地利用の変化により、内湖、ヨシ帯等が失われました。また、内湖等が失われたこと等により、琵琶湖と水田等とのネットワークが分断されている所があります。

● 内湖
昭和15年37ヶ所(2,902ha) ⇒ 平成7年23ヶ所(425ha)
● ヨシ帯(水域のみ)
昭和49年約100ha ⇒ 平成14年約80ha
● 前浜
昭和40年154ha ⇒ 平成7年131ha
● 琵琶湖湖岸底質
昭和44年以降、砂泥質が減少、泥質が増加

これまでの河川整備により、洪水に対する安全性を高めた一方で、構築してきた堤防や高水敷、単調な形状の低水路等によって、河川形状が横断方向に連続性が分断されているところがあります。
堰や床止め等の横断工作物によって縦断方向に連続性が分断されているところもあります。
干潟、ワンド、ヨシ原、たまり等の湿地帯、瀬と淵が減少しています。

河川の縦断/横断方向の連続性分断
琵琶湖の現在の水面と過去からの消失水面
淀川での干潟、ヨシ原の減少
 

オオクチバス、ブルーギル、ウォーターレタス等の外来種が琵琶湖・淀川流域の多くの水域に侵入・繁殖しています。また、琵琶湖の水草帯は、生態系を構成する重要な要素ですが、その繁茂状況によっては、湖岸周辺の環境や船舶の航行、漁業活動等に支障をきたす場合があります。

外来魚獲量の推移

オオクチバス、ブルーギル、ウォーターレタス

琵琶湖では、魚介類の漁獲量が減少しています。

重要魚介類の漁獲量の推移

課題

課題

琵琶湖における内湖、ヨシ帯、前浜といった水陸移行帯(エコトーン)の減少や分断、また、琵琶湖と水田等への移行経路の分断等は、ニゴロブナ、ホンモロコ等の魚類の産卵、稚魚の生息やカイツブリ等の鳥類営巣等、生物の生息・生育に影響を及ぼしているものと考えられ、琵琶湖固有の自然景観も失われつつあることから、これら湖辺域の生態系を保全再生するとともに、生物の生息・生育空間のネットワーク化が望まれます。

課題

河川における瀬と淵、ワンド、たまり、ヨシ原、干潟の減少は、これらの場所を主な生息・生育場所としていたナカセコカワニナ、イタセンパラ、アユモドキ等多くの固有種、希少種の絶滅の危機を招いており、これら自然環境の保全再生及び相互のネットワーク化が望まれます。

課題

河川水位の低下により湿性地が減少し、陸生植物が繁茂して砂州やヨシ原が減少する等、河川特有の環境や景観が変化してきています。 古くから雅楽器の一つである篳篥(ひちりき)のリードや葦簾(よしず)の素材として利用された歴史ある鵜殿のヨシ原、また、近畿最大のツバメのねぐらになっている生態的に貴重な向島地区のヨシ原等が失われつつあり、保全再生対策が望まれます。

課題

堰、閘門や落差工等には、海と河川、河川と湖、河川と陸域の水路網等の水域を移動する生態を持つ魚類、甲殻類等の遡上・降下の妨げとなるものも見受けられ、その修復が望まれます。

課題

在来種の稚魚を捕食するオオクチバス、ブルーギル等の外来種の増加やカワウの異常繁殖、水陸移行帯の変化等、様々な要因によって、在来種が減少しており、その対策が求められます。

課題

ワンド等に繁茂したウォーターレタスは、冬季には腐敗沈殿し、水質悪化の要因になるとともに、ワンド内の淡水貝類等、底生動物の生息環境を悪化させていることから、その対策が求められます。