多自然型川づくり事例集


より豊かな河川環境に向けて
多自然型川づくりとは?
川の個性を活かす工夫
工法の実例
工法の実例1
工法の実例2
工法の実例3
工法の実例4
生態系を守る
未来に向けた河川環境
みんなの声を聞かせて
多自然型川づくり---工法の実例1
ヨシ原を復元させる

すいせい

かくしごがん
(ふくど)

すていし
■ヨシの役割
 川の自然環境を守るためには、生物のすみよい環境づくりが大切です。特に、植物は川の生態系(せいたいけい)を維持(いじ)するうえで重要な役割を果たします。例えば、河原の象徴的(しょうちょうてき)な光景のひとつにヨシ原がありますが、ヨシの茎(くき)は、水鳥の巣作りの材料になったり、スズメやツバメ、エビやカニのすみかになるほか、昆虫の餌(えさ)にもなるなど、ヨシは生物にとって大切な植物であり、生物の貴重な生息地(せいそくち)になります。
 加古川下流の稲屋地区で行われた河川改修工事(低水護岸)は、今では貴重な風景となりつつあるヨシ原の保全が、大きな目的となりました。
■移植(いしょく)から復元へ
 ヨシ原復元の取り組みは、平成7年、ヨシ原の分布状況調査からスタートしました。
 移植方法を決めるためにヨシの根の深さや水深、移植時期についての調査を行った後、ヨシを土ごと掘り取り養生地(ようせいち)に運びヨシの保護・育成をしました。
 その後、本体工事である低水護岸(ていすいごがん)(動植物の復元のために工夫された、かくし護岸、干潟(ひがた)部、水制工(すいせいこう)を完成させた後に、養生地で充分に生育したヨシを土ごと掘り取り、再びもとの場所に移植しました。その後も、ヨシ原の回復状況が調査され、年々成育状況がよくなっているほか、ヨシ以外の植物やさまざまな動植物が確されています。
スゴイ働き!ヨシの水質浄化機能
ヨシには、水をきれいにする働きがあります。水中部にあるヨシの茎には、微生物がついていますが、これが水中の有機物(ゆうきぶつ)を分解するのです。また、地下茎からは水質汚濁(おだく)の原因である窒素(ちっそ)やリンを吸収します。私たちにとってなくてはならない酸素も、ヨシをはじめとする植物が作ってくれるものです。
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