第2回新桜宮橋デザイン検討委員会

第2回新桜宮橋デザイン検討委員会について

第2回新桜宮橋デザイン検討委員会開かれる

平成12年9月27日、OAPタワー24階会議室において、デザイン検討委員会が開催されました。
まず冒頭に事務局より第1回委員会以降に市民の皆様からいただいた意見を報告しました。
市民の意見を参考にしながら、

(1) 現在の銀橋のイメージをこわさないもの、現在の銀橋を目立たせるもの
(2) 大川のシンボルとして優れたデザインであること
(3) 現在の路面高及び河川条件をクリアすること

を基本に、施工性、経済性、構造性の面もふまえて比較検討を行ないました。
議論は、CG(コンピュータ・グラフィックス)を駆使したシミュレーションにより、桁橋、斜張橋、アーチ橋のイメージをつかみながら行ないました。
主な議論の内容は、次の通りです。

(1)新銀橋を「桁橋」とした場合

構造的に、主要鋼材の板厚が10cm程度(換算値)となる。また経済的にも他の形式と比べて著しく不経済である。大川に橋脚を立てないで渡ることから構造的な面において合理性に欠ける。構造上の問題点を多く抱えることが予想される。

(1)イメージ写真

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(2)新銀橋を「斜張橋」とした場合

現銀橋と並んだ場合、特に斜張橋のタワーが異質となり、違和感があるため景観上そぐわない。構造性については特に問題はない。

(2)イメージ写真

イメージ写真

(3)新銀橋を「アーチ橋」とした場合

現銀橋は重量感があるアーチ橋であるが、新しい銀橋は新技術で高強度鋼材を使用した設計ができるため、かなり細いアーチ橋にすることも可能である。相似形式となるため、現銀橋との調和がとれる。

(3)イメージ写真

イメージ写真

施工性や振動特性では各タイプとも優位な差はない。

以上の議論と、市民の意見として「アーチ橋」への支持が全体の3/4を占めたことをふまえ、新銀橋のタイプは、現銀橋と同じく「アーチ橋」となりました。

第1回委員会終了後に寄せられた市民の皆様からの主な意見は次のようなものがあり、委員会に報告されました。

・大阪の文化のシンボルとして現橋のイメージを生かし、将来に希望がもてるデザインにしてほしい。
・景観を損なわないように現橋とバランスのよいものをつくってほしい。
・すべての人が渡りやすい安全で親しみやすい橋にしてほしい。
・21世紀に残る橋として、環境と人にやさしい橋にしてほしい。
・渡るだけではなく、人々が集まる待ち合わせの場所としても利用される橋をつくってほしい。

市民見集約

また、委員会では新しい銀橋を現銀橋と並んで「水の都・大阪」のシンボルとし、市民の皆さんに末永く親しまれるために、新銀橋の「愛称」を公募した方がよいという意見がだされました。

次回の第3回委員会では、「アーチ橋」の詳細部分のデザイン・構造についてさらに掘り下げた議論をしていただくこととしています。

委員長のコメント

20世紀最後のオリンピックが開催されたシドニーにある「ハーバーブリッジ」は、シドニーのシンボルとして市民に親しまれており、花火大会やアーチ部のウォーキング等のイベントに利用されている。平成の新銀橋も現銀橋とともに、このハーバーブリッジのような役割を担い、大阪のシンボルとなることを期待したい。

安藤忠雄氏の新銀橋コンセプト

「新・銀橋 計画」

大正年に架け渡されて以来、水の都大阪のシンボルとして、人々に親しまれてきた旧銀橋(桜宮橋)。夏は、大阪天満宮の天神祭の船渡御と花火で、春はウォートルス設計の造幣局の通り抜け桜で人々に親しまれる。
大阪人の心の原風景の中にある、この銀橋に隣接して、今回新たに新銀橋を建設する。計画に際し、私が考えたのは、新しい橋の登場によって、既存の銀橋の魅力もより引き立つ、新旧が対となり、互いに刺激しあうような場所づくりである。

新銀橋の形状は、旧銀橋に倣いアーチ型とし、最高高さ、軸の方向など、様々な要素について、可能な限り旧銀橋の相似形となるよう計画する。ただ、それをつくる技術については、あくまで最新の素材・工法を用いる。おのずと、新橋は旧橋と比べて、非常にスレンダーなものとなる。それら新旧の橋が、対として並置されることで、現在と旧橋建設当時の技術の違い、その間にある時間的奥行きを表現することが出来るのではないかと考えた。

旧銀橋は新銀橋とともに、21世紀へと足を踏み出し、次の100年を生き抜いていく。新旧の間に喚起される、時間を超えた「対話」が、大阪の都市空間に刺激を与え、新たな命を吹き込んでいく。 この計画が、次代の大阪を、時間的、空間的に奥行きのある、豊かな都市としていく、その第一歩となることを期待している。

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