近年、交通事故件数や死傷者数は減少傾向にあります。
これらを分析すると、幹線道路で発生した死傷事故の約60%が全体の約12%の区間に集中していることがわかります。
この状況を踏まえ、国土交通省は、「事故危険箇所」対策や「事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦))」など、集中的な交通事故対策に取り組んでいます。
事故危険箇所
国土交通省と警察庁は合同で、幹線道路における集中的な交通事故対策を実施することを目的に、交通事故が多発している箇所やETC2.0プローブデータ等のビッグデータから判明した潜在的な危険箇所等を「事故危険箇所」として指定し、道路管理者と都道府県公安委員会が連携した対策を推進しています。
<事故危険箇所の指定>
令和4年3月に以下の抽出基準に該当する箇所から事故危険箇所を105箇所を指定しました。
事故危険箇所の抽出基準
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(A)平成27年~平成30年における交通事故発生状況について以下の条件を全て満たす箇所。
- ・死傷事故率が100件/億台キロ以上
- ・重大事故率が10件/億台キロ以上
- ・死亡事故率が1件/億台キロ以上
-
(B)ETC2.0プローブデータ等のビッグデータを活用した潜在的な危険箇所等、地域の課題や特徴を踏まえ、特に緊急的、集中的な対策が必要な箇所 等。
<事故危険箇所の目標>
令和3年5月に閣議決定された第5次社会資本整備重点計画において、「令和7年度末までに幹線道路の事故危険箇所における死傷事故件数を約3割抑止」という目標を掲げています。
事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)
国土交通省では、事業の透明性・効率性を一層高めるため、交通事故対策において、事故データや地域の声に基づいた「事故ゼロプラン」の取り組みを進めていきます。
「事故ゼロプラン」は、事故が多発する幹線道路を対象に、事故の危険性の高い区間を選定し、重点的に対策を進めていくものです。
大阪国道事務所は、「事故ゼロプラン(大阪府)」として府内の国が管理する国道から事故の危険性が高い区間(事故危険区間)を選定しました。
今後は、これらの区間に対し、優先的、集中的に対策を実施していくことで効率的に交通事故を減少させていくことを目指します。
交通事故重点対策・交通安全施設等整備
(交差点改良、歩道整備)
■より安全に通行できる道路空間へ
大阪府下における令和3(2021)年の交通事故死亡者数は、昨年の124人から140人で平成27(2015)年から令和2(2020)年まで減少してきましたが、昨年より増加しており、全国2位と非常に高い人数となっています。また、死者数の内訳を見ると、65歳以上の高齢者が48%、自転車乗車中・歩行中が50%となっています。
大阪国道事務所では、このような状況を踏まえ、前述の事故危険箇所や事故ゼロプランなどの施策に従って、交通事故が多発している箇所や渋滞箇所の解消を目指し、以下のような事業を実施していきます。
一種事業
一種事業とは、道路を改良して交通環境の改善を図る事業であり、歩道・横断歩道橋の整備、バリアフリー対応工事等により、歩行者等の安全な通行を確保するとともに、交差点改良工事により、渋滞緩和や事故削減を図ります。
安全で快適な歩行空間を確保するために、歩道新設・拡幅、段差解消及びバリアフリー化を実施します。
歩道等
路線名 | 事業名 | 事業名 | 箇所名 |
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![]() | 大阪 1号交通安全対策 | 城東(じょうとう)地区歩道整備 | 大阪市 城東区 |
![]() | 大阪 26号交通安全対策 | 岸里(きしのさと)地区歩道整備 | 大阪市 西成区 |
![]() | 大阪 26号交通安全対策 | 堺(さかい)地区歩道整備 | 堺市 堺区 |
![]() | 大阪 26号交通安全対策 | 荒木町(あらきちょう)地区歩道整備 | 大阪府 岸和田市 |
![]() | 大阪 26号交通安全対策 | 泉南市信達牧野(しんだちまきの)地区歩道整備 | 大阪府 泉南市 |
![]() | 大阪 43号交通安全対策 | 弁天町駅前(べんてんちょうえき まえ)交差点バリアフリー化整備 | 大阪市 港区 |
![]() | 大阪 43号交通安全対策 | 出来島(できじま)地区歩道整備 | 大阪市 西淀川区 |
![]() | 大阪171号交通安全対策 | 南芥川町(みなみあくたがわちょう)地区歩道整備 | 大阪府 高槻市 |
歩道整備の主な事例
柏原市国分本町地区の国道25号は小学校指定の通学路で、交通バリアフリー法における重点整備地区の特定道路に指定されています。本事業では、歩道が整備されていない区間に歩道を設置し、安心して通行できる歩行空間を確保しました。

現 況

完 成
大阪市西成区岸里地区の国道26号は区役所、郵便局、大阪メトロ駅等、公共施設が集約されている地域ですが、横断歩道橋の影響により歩道幅員が狭隘で歩行者通行の妨げとなっていました。本事業では、通学路から除外された横断歩道橋を撤去し、広い歩道空間を確保しました。
現 況
完 成
交差点改良
交通事故の多い交差点において、交通事故の削減を目的に、交差点改良を実施します。
路線名 | 事業名 | 箇所名 | 箇所名 |
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![]() | 大阪171号交通安全対策 | 西河原(にしがわら)交差点改良 ※お知らせ 令和3年9月21日付告示 都市計画法による事業の承認の告示 | 大阪府 茨木市 |
交差点改良の主な事例
大畑町交差点は、国道171号と、府道が交差する大規模な交差点で、右折レーンが未整備のために交通が渋滞し、急な車線変更を誘発することによって、接触や追突の事故が発生していますので、右折レーンの新設を実施しました。
整備前

整備後

二種事業
二種事業とは、道路付属物を設置して交通環境の改善を図る事業であり、道路標識や区画線、防護柵等の設置により、安全な交通を確保するとともに、案内情報板の設置(更新)により、わかりやすい道路情報をお知らせすることで交通の円滑化を図ります。
区画線の整備
交通の安全・円滑化を目的とした区画線を整備します。

※整備イメージ
標識の整備
来訪者にわかりやすい英語表記を整備します。

※整備イメージ
事故防止の注意喚起を目的とした標識を整備します。

※整備イメージ
防護柵の整備
事故防止を目的とした防護柵を整備します。

※整備イメージ
情報板の整備
情報板を、視認性の高いLEDを使用したものに改修します。

※整備イメージ
自転車通行空間の整備
歩行者と分離された自転車通行空間を整備します。

※整備イメージ
これまでに行った代表的な対策事例
前述の事故危険箇所や事故ゼロプラン指定箇所において、推進連絡会議では、様々な交通安全対策を実施してきました。
ここでは、実際に対策を行った箇所の効果をご紹介します。
対策効果の詳細についてはpdfファイルをご覧ください。
道路管理者 | 対策箇所 | 対策内容 | 効果 |
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大阪国道 | 国道171号 箕面市牧落5丁目交差点 | ①停止線の前出し ②路面標示「追突注意」の設置 ③減速路面標示の設置 |
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大阪国道 | 国道25号 恵美須交差点 | ①歩道の拡幅+横断歩道の前出し ②植栽の撤去 |
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大阪国道 | 国道171号高槻市大畑町交差点 | ①右折専用レーンの設置 ②路面標示の設置 |
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大阪国道 | 国道26号 市場北2番交差点 | ①右折直進分離信号 ②右折レーン延伸 ③路面標示の設置 ④法定外看板の設置 |
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大阪国道 | 国道171号 八丁畷交差点 | ①左折専用レーンの設置 ②右折専用レーンの設置 ③自転車歩行者道の拡幅 |
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大阪国道 | 国道25号 大国交差点 | ①横断歩道の視認性改善 ②右折車線延伸+路面標示敷設 ③停止位置・導流線改善 |
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大阪国道 | 国道26号 大浜北町交差点 | ①歩道の拡幅+横断歩道の前出し ②右折車線延伸+路面標示敷設 ③左折専用レーンの設置 |
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大阪国道 | 国道1号 梅新東交差点 | ①横断歩道の視認性改善 ②中央分離帯の設置 ③左折車の走行位置の明示 |
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大阪国道 | 国道43号 泉尾交差点 | ①右折車線の延伸 ②法定外看板の設置 ③路面標示の設置 ④投光板取り替え |
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大阪国道 | 国道1号 関目5丁目交差点 | ①減速路面標示・路面標示「追突注意」 ②路面標示「右にちゅうい」の設置 ③交差点のコンパクト化(隅切り改良) ④交差点内高輝度区画線 ⑤門型ラバーポールの設置 ⑥法定外看板「二輪巻込み注意」の設置 |
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大阪国道 | 国道1号 梅田新道交差点 | ①導流帯を縮小し車線分離標を設置 | |
大阪国道 | 国道26号 岸里3丁目交差点 | ①横断歩道の設置 | |
大阪国道 | 国道26号 山本町交差点 | ①隅切り改良(巻き込み部の引き込み) ②車止め設置 |
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大阪国道 | 国道171号 春日橋西詰交差点 | ①信号交差点化(横断歩道の設置) | |
大阪国道 | 国道25号 平野警察署西交差点 | ①路面標示の設置 ②法定外看板設置 |
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大阪市 | 本町通り | 自転車通行環境の整備 | |
堺市 | 中区深井沢町ほか | 自転車通行環境の整備 | |
堺市 | 大阪臨港線 三宝公園前交差点 | 交差点のコンパクト化 | |
堺市 | 槇塚台1丁 | 交差点のコンパクト化 | |
茨木市 | 島2丁目付近 | 生活道路へのハンプの設置 |