加古川を考える懇談会 発表・討議 要旨

第5回懇談会 討議内容

防災(治水)と多自然型河川工法

  • 昭和10年、20年代の川は全く自然そのものの川であったが、現在は限られた魚しか生息しない。
  • 蛇行をしていた草谷川は、圃場整備とともに一直線に変えられた。
  • 加古川には堰やダムなどの障害物が多く、稚ガニが遡上できない。
  • 高度経済成長期における産業・生活排水量の増加による水質悪化と、治水・利水等の河川工事の推進により、魚類等の生息環境が悪化していった。
  • コンクリートの三面張りが、魚の隠れ家・河畔林・川の石を消失させ、魚にとっては住みにくい条件が重なっている。
  • 水辺の親水空間整備で、草やヤナギを取り払って石を張り、階段を付けたりしているが、魚にとっては良好になっているのだろうか
これからの多自然型川づくりへの提案
  1. 河川工事・工場・宅地造成等にあたっては、極力、濁水を出さないようにする。
  2. 河川工事は必要最小限に止めてほしい。
  3. 河川工事等を行う場合、河畔林の保全・瀬や淵などの河川特性の形成・河原の石の復元を行い、できるだけ自然を残すようにしてほしい。
  • 闘龍灘でニジマスの放流が行われた。外来種の魚の放流は問題があると考えられる。
  • 但馬の建屋川では、川幅を広げたためにオオサンショウウオが住めなくなった。
  • 自然工法を取り入れるにしても、川幅を広げずに、しかも水量を保てるような工事が必要ではないか。
  • 治水と利水は相反するもので、両方を管理するのは不可能である。
  • 治水・利水・環境も考えるには、川だけに限定せず、流域全体を考える必要がある。
  • 治水対策に影響する最大流量に対し低水流量は非常に少ない。つまり、治水対策に非常に大きなことをやっても、水量の確保という点からすると非常に難しい問題がある
  • 洪水時に流下する水は、貯水池・調整池・森林などで溜め、少しずつ川に流すことで利用が可能となる
  • 多自然型川づくりを考える場合、川の特性をどの時点にまで戻った状態を考えるのか。その環境をフィックスすることは不可能であり、人間が河川環境をどこまでコントロールできるかを考え、どのように維持管理していくかが重要である。
  • 流域の変化に柔軟に対応できるシステムを考え、維持管理していく必要がある
  • 森林が水の流出を抑制するが、荒廃した人工林が多くなり、本来期待しているような機能を果たすかどうかはわからない。
  • 人工林は間伐等の手入れを行わないと治水機能は果たさず、土砂崩れの要因にもなる。単に山を持っている人だけに、維持管理の負担を強いるのは無理だろうと思う。
  • 下流が上流からの恩恵を意識し、そこに住んでいる人間が生活の環境の中で相互依存を認識していくことを、流域全体で考えることが必要である。
  • 舗装されている道路の増加が、地面に吸い込まれていく水量を相当減らし、都会での地下水量が減少していると考えられる。
  • 川の最下流には砂浜があったが、加古川の土砂流がつくった東播磨海岸の白砂青松は今はもうなくなった。