加古川を考える懇談会 発表・討議 要旨

第10回懇談会 討議内容

ひょうご・人と自然の川づくり

  • 「参加と連携の推進」を図るため、川とまちづくりが一体となるような行動をしていきたい。また、「川づくり意識と技術の向上」を図るため、川づくりについての県河川課で職員の研修や能力アップに努めている
  • 三面張りは極力実施せず、環境に配慮した植生護岸や覆土護岸を採用している。
  • 子供たちの教育という観点から「自然体験ふれあい川づくり」を目的に、地域の人々に計画段階から維持管理まで参加してもらうことを試行的に今田町で実施した。

加古川とつきあう方法

  • 加古川流域に降り注いだ雨を生態系がどのように利用するかによって、加古川流域を豊かにするかどうかが決まってくる。
これまでの懇談会の中に次の三つの考え方が共通していたのではないか
  1. 流域全体で考える
    水系は1つの単位であり、環境の単位、生活の単位、文化の単位である。加古川水系を一つの単位として、全域と考えるべきではないだろうか。
  2. 柔軟な方策を考える
    時代の移り変わりに伴う自然環境・社会環境の変化に、柔軟対応できるシステムが必要。その方策としては、小規模分散型、それを維持する方法、それをネットワークとして維持していくことを考えていくことである。
  3. 我慢できる限界を考える
    自然の中の問題をすべて技術的に解決していくことは難しい。危険と不便を忍ぶ必要がある。
懇談会への具体的な提案
  • 加古川全流域がわかる水の白書をつくり、印刷物やホームページで紹介する。
  • 電子ネットワークによる「加古川流域研究所」をつくる。
  • 河川に係わる伝統的な技術・文献・資料の保存を図る。
  • 「川の語り部」を流域の小学校に巡回派遣し、川の楽しさや良さを啓発する。
  • 汚濁工場排水について調査し、解決策を検討する。

ひょうご・人と自然の川づくり:加古川とつきあう方法

  • 河川工事におけるミティゲーションを県全体での取組みが必要である。
  • 生き物を育て、学び、放流し増やすことに配慮した子供の水辺活動が必要である。
  • 治水と利水を両立させようとしてきたのが、ある意味で環境に必ずしもよくなかったところもあると思う。
  • 自然環境や社会環境の変化については予測不可能なことであり、流域全体で物を考えて部分的にコントロールすることも実際は不可能なことである。
  • 加古川でいえば 150年に1回の洪水を想定しているわけだが、流域の状況が変わったときに、いつまでも 150年に1回の流量でいいのかはわからない。そのために各地に遊水池を確保して、ある種の不便をしのんで、ある種の危険を薄く広く分担するというようなシステムを考えることが大事である。
  • 流域全体で関連機関との調整を図りながら、もっと容易に川に入ることができ、多様な活動が行えるようにしていきたい。
  • 時点において多自然型は万能ではない。しかし、少しずつ追跡調査を行い、改善を進めていく。
  • 自然にやさしい護岸は多孔質であることが必要である。できるだけ多孔質にして、フォローアップをしながら試行錯誤していくことを考えている。
  • 「川は誰がつくるのか」という観点で考えると、川は生態系のもの、川は川のものであり、川は川がつくるものである。そういう基本的な認識を持っておきたい。
  • 川の中のヤナギは、河川の生態系の保持に重要な役割をはたしており、人が飲む水のおいしさや安全性にも関わりをもち、ヤナギを守るということと防災は相対立するものではないという認識を持っている。
  • 10年、15年という単位で見ると年間総流量は変わっていないが、渇水と増水が極端に表れるというのが、ここ10~20年の特徴である。
  • 将来広域公共下水道が完全に整備されると、上流域の流量が相当減ってくることが予想される。そうすると、川の水がもっている生態的な機能、浄化能力、生物を育てるという能力がかなり縮小されてくるのではないか。
  • 水質汚濁要因となる企業は地域の社会の中で営業しているのであり、住民の生活を理解してほしい。
  • 今後は植林する範囲を考え、自然林に戻していくことも考えていく時期ではないか。
  • 川づくりにおいても、自治会、NPO、愛好家、コミュニティ・ビジネス等が、うまくネットワークを組んで動けるようなシステム化が重要である。
  • 川の景観は、直線的ではなく自然の線形であることが望ましい。
  • 加古川では土砂の堆積により、2000m直線のボート競技コースがとれなくなっている。2000mコースが確保できるよう浚渫(しゅんせつ)をお願いしたい。