加古川を考える懇談会 発表・討議 要旨

第6回懇談会 討議内容

自然環境と水質・水量及び景観・風景

  • 健全な水の循環を流域全体で考えていく必要がある。
  • 循環を保持するためには水量・水質、そして場という特性が重要である。
  • 河川管理の目標では生物を保持するためのコリドーやビオトープ、また快適性、やすらぎ等も要望されている。
  • 流域の管理や河川の管理においては、環境と流域での水のストック・フローの保全・創造が重要。
  • 流域全体で考えるという概念で兵庫県が「流域水環境保全創造指針」を策定している。これでは、水質だけでなく水量、快適性、文化、生物相にも配慮する必要があり、また、推進を図るためには情報システムなどの導入が重要であるとしている。
  • 環境教育が行われると空き缶等の投げ捨てもなくなり空き缶を拾っている清掃の状況はなくなるはずである。
  • 水域に対する市民の要望などを検討してメニューをつくり、その内容、技術、費用や効果などを提示しながら、住民と一緒に川づくりを行う必要がある。
  • 環境指向の土木建設企業や、日本の伝統的な土木技術を温存させながら活躍している建築企業を掘り起こしていく必要がある。
  • 地域の人たちが川を考えるということで、公開フォーラムなどの開催も必要。
  • 川の問題は森の問題だと認識し、森の生態系のバランスやどんな山が望ましいかを考え直す必要がある。
  • 護岸工事において重機が河川に入るのは問題である。自然環境に対して、工事に伴いどのような機械や道具を使用するかの検討が必要。土木建設事業は生態学的事業を取り入れていくことが必要。
  • 川を直線にしてしまう工事が行われている。瀬と淵がなく、魚のかくれ場所がない。生物が一つのものに限定されてしまう河川構造になってしまっている。
  • 河川改修により、今までそこに生息していた生態系がこわされてしまっている。環境の異変に強いものが生息し、加古川の昔とは違う様相がつくりだされている。
  • 染色の問題では、工場の中で廃棄物や水を徹底循環させて外部に出さないクローズドシステムを考える必要がある。
  • 加古川は世界一のゴルフ場密集地域であり、その下流ではグリーンの着色料が流れ、藻のような形で残留し全く生き物がいない。
  • 農薬散布により、農薬が地下水、表層水に混るなどの問題が生じる。
  • 滝野に高瀬舟の船着き場があった。当時と比較して少なくても3mは水の量が減っている。この水位の変化を考える必要がある。
  • 加古川の下流で都市型の公園をつくるために高水敷が利用されている。親水と言いながら、水に入れない都市型の公園として利用している。
  • 加古川のヤナギ林が工事のために伐られている。ヤナギは川のシンボルであると考えている。

防災(治水)と多自然型河川工法

  • 流域における水質データ等のデータベース化について、兵庫県と建設省との一体管理が必要。
  • 美嚢川汚濁進行の原因については、流域行政の都市計画などに問題があるのではないか。
  • 三木市では開発の推進によって自然が減少し、川の汚濁が進んでいる。
  • 管理のまずさから本来生えない樹木を巨木にしてしまった。地元の人からは、治水安全上早く伐採してほしいとの要望が強い。保全と伐採の折り合いが問題となっている。
  • 河川工事のために魚がものすごく減っている。
  • 水質や水量を見るだけでも流域のオーダーで考えていく必要がある。
  • 上流から下流まで公園をなくしてすべて自然にあふれた河川にすることが、加古川に求められているのかどうかを考えてみる必要がある。
  • 堤防をつくって河川を閉じ込めた途端に、河川空間は自然ではなくなっている。ヤナギの木は決して川の中にあるのが自然ではなく、管理が悪くて大木になってしまった。生態系が発達しているからといって伐採してはならないとは断定できないと思われる。川を閉じ込めた途端に何をしたかをもう一度考え直し、川の空間の中だけにたまたま発達した生態系を守り通さなければならないかどうかは考える必要がある。