被災のメカニズムを知るために、被災堤防の開削(トレンチ)やコンピュータによる変形解析を行いました。
今回の地震の最大加速度分布を下図に示します。
淀川の震災と堤防復旧について
被災のメカニズム

この図によれば震度VI~VIIの激震域であった神戸市・西宮市・宝塚市などでは水平加速度で600gal以上を記録しています。また、大きな被害のあった淀川河口部ではおよそ250gal程度の加速度を示しています。最大加速度250galは、液状化現象が生じる可能性の高い値です。

パラペット部分の沈下量が最大で、堤体が川表(右)側に傾斜しています。 一方、堤体中央~川裏(左)側にかけては土塊がせん断され、クサビ状に沈下しています。また、川表側では液状化による噴砂の跡が認められ、堤体が削られて丸みを帯びています。
堤防被災のメカニズムとして以下のようなモデルを想定しています。
被災前。堤防直下に液状化しやすい砂層(粒度がそろい、細粒分が少なく、緩んでいる)が分布している。
地震動により堤防直下の砂層が液状化し、パラペットの重みにより川表(右)側での沈下が生じる。この時、川裏(左)側で引っ張り力が働く。
川表側の沈下が進行し堤体の傾きが大きくなる。同時に、川裏側でクサビ状の沈下が生じる。
川表側の堤体が液状化した砂中を移動し、周囲の流れにより削られ丸みを帯びる。



